楽しみが溢れる現代で大切なこと
今日の言葉
二宮翁夜話より引用
50) 人道は作為の継続
翁のことばに、天道は自然に行われる道で、人道は人の立てるところの道だ。もとより区別が判然としているものを、混同するのは間違いだ。人道は努めて人力をもって保持し、自然に流動する天道のために押し流されぬようにすべきものだ。天道にまかせておけば、堤は崩れ、川は埋まり、橋は杉ち、家は立ち腐れとなる。人道はこれに反して、堤を築き、川をさらえ、橋を修理し、屋根をふいて雨のもらぬようにするのだ。身の行いも同様であって、天道は寝たければ寝、遊びたければ遊び、食いたければ食い、飲みたければ飲むという類だ。人道は眠たいのをつとめて働き、遊びたいのを励まして戒め、食いたい美食をこらえ、飲み たい酒を控えて明日のために物をたくわえる、これが人道なのだ。よく考えるがよい。
【引用 二宮翁夜話(上) 福住正兄:原著 佐々井典比古:訳注】
楽しみが溢れる現代で大切なこと
江戸時代に二宮金次郎が活躍した頃、人々の楽しみは飲食や博打ぐらいだったと思います。
楽しみは多くなかったかもしれませんが、飲食や博打に明け暮れる農民の心を立て直すのは、金次郎にとって困難だったでしょう。
今の時代はどうでしょうか。
江戸時代と比べると、私たちの楽しみは格段に増えています。
飲食、スマホ、動画、SNSなどなど、様々な楽しみがあります。
しかし、楽しみが溢れる現代では、人々は人道の勤めを忘れてしまっているかもしれません。
1779年に富士山の大噴火、その後1883年に浅間山噴火と天明の大飢饉、社会が荒廃していた頃の1787年に二宮金次郎が生まれ、その後、二宮金次郎が活躍しました。
最近では、世界中で大地震や異常気象が起きています。
人間が人道の勤めを忘れたとき、大災害が起きれば、再び二宮金次郎が活躍した時代に戻ってしまうかもしれません。
楽しみは程ほどに保ち、人道を思い出すことが大切だと思います。