白鵬不覚

 もうぼちぼちかと思っていた矢先、白鵬はやっぱり負けた。彼も35歳、場所が終盤戦に入ってくると疲れが溜まってくる。もう1、2敗する可能性が高い。

 今の実力は大関かほんの少し上くらいだろう。テレビなどでは解説者も真実を語り辛いので言わないがもう彼に多大の期待をしてはならない。

それにこの横綱には多くの問題点がある。北の湖勝昭さんは白鵬が嫌いだから少しは喋るが、テレビを見ている人のことを考え余り多くを語らない。

 白鵬が勝つ大きな要因は彼の筋肉の使い方にある。他の力士はどうしても腰を使って相撲を取るが、白鵬は背中の一番厚いところから力を全体に伝える。いつか背中を痛めて湿布を貼っていたことがある。そん故障した箇所を見るとそれが良く分かる。

 昔の大力士も同じところを使っていたが、現在では白鵬のみだ。果たして新大関の朝之山はどうか、もし朝之山がそのような身体の使い方をしていると横綱になる可能性が高い。

 朝青龍が引退した後、白鵬と互角に戦える力士はいなくなった。これが記録を次々と塗り替える大きな要因だ。ただ日本人で体力のある人はあまり相撲に足を向けない。野球、柔道、バスケットボール、バレーボールなど若い人が恰好良いと思えるスポーツを選ぶだろう。

 そういう意味では相撲は斜陽なスポーツだ。新弟子の数も激減しているので、その中から本当に強い人が出て来る可能性は低い。昔は金を稼げるスポーツと言えば相撲だったのに比べると隔世の感がある。

 その点蒙古などでは相撲は大人気だ。国も貧しく日本の大相撲で人気が出ようものなら、母国では大臣級の金持ちになれる。蒙古では一番体力のある若者、日本では2番手くらいの人が相撲を取るのだ。

 いくら教えられても体幹を充分に使うことができる人は少ない。白鵬、引退した日馬富士などはその一人だが、日本人では貴乃花が最後の一人かも知れない。

 白鵬は頭が良い。というよりずる賢い。立ち合いは合わせるべきなのに少し早く立ったり、遅く立ったり、相手の立ち合いの力を殺ぐのだ。いつもそれでやられていたのが稀勢の里で、稀勢の里が全盛期のころの実力は白鵬を勝っていたようにも見えた。

 白鵬は横綱にも関わらずかち上げという汚い手を使う。これは相手力士を失神に追い込む目的で繰り出すもので、そのかち上げを食った力士は数多くいる。だが他の力士はそんな汚い手を使いたくない。

 これが白鵬の勝因の第3だ。力士は怪我をさせないため相手のことをどうしても考える。考えない白鵬は相当性格が悪いのだ。

 元々は感じの良い青年だったが、成績が向上するにつれて奢って性格もて歪んできた。審判に抗議して、土俵を去らなかったり優勝の表彰式でも顰蹙を買う発言をしたり、引退した日馬富士を使って貴ノ岩に暴行を加えさせたり、自分のことしか頭にない。彼には利他という観念はないのだろう。

 照ノ富士のように一度下に落ちて這い上がってきた経験があればそうした利他精神が芽生えたかも知れないが、全盛期は強すぎて怪我をしなかったので、そんなことも起こらなかった。

 白鵬が貴乃花、曙、武蔵丸が活躍して時にいれば成績はどうなっていたか分からない。曙にも相当負けるだろうし、貴乃花も大きな壁になっただろう。

 彼はそういう観点からみると運も良い。彼のライバルは日馬富士くらいだが、日馬富士は体が小さすぎる。どうしても勝ち星では後れを取る。

 そう言えば蒙古出身の横綱には引退した朝青龍がいる。これも性格の悪い人物だが土俵上では白鵬ほどずる賢くはなかった。でもやはり蒙古出身。土俵外ではやってはならないことも多くやった。

 大相撲には日本人だけが参加できるようにしたらどうだろうか。実力では朝之山辺りが最高峰になると思われるが、案外面白い案かも知れない。だが相撲協会の経営者である元力士はやはり自分たちのことしか考えず、そんなことをすると興行成績が落ちると考えているのではないか。

 白鵬も引退まで後少しだ。悪口を言っていても彼がいなくなると大相撲は面白くなくなるだろう。だが横綱に求められる心技体などは有名無実となってしまった。

酒巻 修平

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