法律とは何だろうか

 法律という言葉あるいは制度に初めて関心を持ったのは、学校で習った時だ。

 法律の意義は社会の良俗や状態を確定するため、明文化したものだと聞かされた。だがそれは勉強の範囲でしかなかった。

 だが社会に出て一人で考えるようになり仕事を始めるとこの法律が否応なしに関係してくる。

 法律の規定を守らなくてはトラブルの元になるのだ。

 それでもう一度習った法律の意義を考える。

 世界最古の法律を調べてみると、ウルナンムという法典があり、それは有名なハムラビ法典より350年ほども前にできたもののようだ。

 日本では近江令というのが最初らしい。それは668年に成立したというのが学者の説になっている。

 では法律の意義は何か。多分時の権力者が統治の便のためのものであったろう。

 だから上記ウルナンム法典の記述も近江令も最古の法律ではないだろう。その定義は記述があるか写しが現存している最古の法律というくらいでしかなく、その前にも法律はあったと考えなければならない。

 人民を統治するのに決まったことがあればそれを適用すれば便利である。いちいちケースごとに考えると不便この上ない。

 たとえ文字で記されていなくても法律はあっただろうし、もっと古い時代には阿吽の呼吸のようなものがあったに違いない。

 時代が移って特にフランス革命以降は一般の住民も権利を持つようになると、法律は権力者の統治の規範から離れて、社会秩序を明文化するようになっていったのだ。

 法律は規範である。だとするともっともっと多くの規範がある。旧家にはその家伝来の教えがあるだろうし、宗教では考える内容さえも規範に触れることがある。

 宗教上、貪欲な考えは排除されるし、男女の交合さえも禁止する宗教もまだ残存しているかも知れない。

 すなわち法律とは規範の一種で、守らなければならない社会の公序良俗の最低限のものであり、それは社会と共にあるいは社会の変化に応じて変化調整されるものだ。

 あるいは特殊な状況下にあっては法律を守らなくても良いあるいは守れない場合がある。

 3人が乗ると沈むような小さな舟に2人が乗っていて、そこに3人目の人が無理やり乗りこもうとした場合、その人の乗船を拒否すれば確実に死ぬと分かっていても先に乗っていた2人は3人目の人を蹴落とすこともできる。これを緊急避難という。

 法律は社会があってそれに沿って制定されなければ近代法とは言えない。社会の正常な要請が先にあり、法律は後付けなのだ。

 人が二人以上同時に同一場所にいるか、同居しているともうそれは社会だ。

 恋人同士は社会でそこには秩序あるいは無言の約束事があるだろう。それが規範であり、その最低限の規範が法律と同様の意味を持つ。

 男性が違う女性と真剣な付き合いを始めると元の二人の社会では法律違反になる。その男性は罰せられるだろう。その罰の種類も二人の社会では決まっていて、二人の関係を破綻させることもある。もっときつい時は女性が男性を殺害するということも発生する。

 繰り返すが法律は社会があって成立するもので、社会の状態から発生したのである。

 そんなことも分からない法曹家、政治家、官僚が沢山いる。

 現在新型肺炎が蔓延している。それが今現在の社会情勢である。すると法律の解釈はそれによって多少変化するだろう。

 あまり知能のない解説者が盛んに法律が許すとか許さないと発言している。その発言は法律がまずあって社会をそれに合さなければならないということを意味する。

 この肺炎の保菌者や発病者は意図的ではないが、社会に危険をもたらしている。上記の舟の件で触れたように、その人の権利は必要に応じて制限されるのだ。

 あるいは隔離しなければならないし、下船は禁止されるのは当然だ。勿論その病人にも人としての権利があるだろう。だがその権利は他人に被害を及ぼさない範囲でしか行使できない。

 それが現在日本全体の合意である。この例以外にも法律の解釈が間違っていることがある。憲法第9条だ。法律とはどのようなものかと考えると自ずから答えは出て来るだろう。

 その法律の役目を理解できない人は意図せず他人に危害を及ぼしている。それを忘れてはならない。

酒巻 修平

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