バブル崩壊後の30年

 1992年辺りに所謂バブル経済が崩壊した。原因は今から考えると簡単だ。時の総理大臣だった橋本龍太郎だったか宮崎喜一だったがアメリカとの経済交渉で完全な敗北を喫したからだ。

 日本が今の中国のように世界に進出しアメリカの経済における覇権を脅かすくらいになったので、アメリカが制裁を加えたのだ。

 詳しいことは省くが銀行は自己資本比率が8%以上ないと国際的に決済をすることができる資格がないとされ、日本の銀行は貸出を止めない限りその機能を失うことになった。

 そこで主として不動産関連に貸出をしていた銀行は一斉に貸出を止め、経済は急速に冷え込んだ。この二人の首相と当時の日銀の総裁の三重野康は日本の不毛の30年を構築した罪ある立役者である。

 日本はその後経済発展をせず、不動産の価格は約1/7にまで下落した。そこからは政府の政策は場当たり的で思い切ったものではなかったので、日本のGDPは中国に抜かれ、韓国にも迫られるほどに色あせてしまった。

 安倍晋三はその状況を脱するため現日銀の黒田東彦総裁と相談して大幅な金融緩和を図った。

 黒田は市場にある株式を購入することで資金を市場に注ぎ、日経平均株価も7000円台から最高26000円くらいまで高騰した。

 安倍晋三首相は第三番目の施策として実態経済の立て直しを図ったが、これは上手くいかなかった。

 市場経済は安倍氏が考えるほど単純ではない。安倍氏はグローバリズムを絶えず唱えているが、これは日本の加工やサービス技術が他の国を圧して優秀であることを前提にしている。

 だが日本の製品は価格が高い。裕福ではない国では品質が劣っても少しでも安い製品を求める傾向にある。

 シルクのシャツの代わりに綿のシャツを買う人が大半であることを忘れてはならない。そしてこのグローバリズムは人、金、物そして疫病をも国際化してしまった。

 誰もが参入できる市場が形成されると自ずと価格競争が生れる。大企業同士でも価格競争で利益率は下がり、企業は業績が悪化する。

 今や日本では零細な商店はほぼ姿を消し、これは年金支給額の増額に繋がった。日本の経済の中核は中小企業と言われているが、その中小企業でも価格競争で体力は落ちている。

 だから今回の新型肺炎の蔓延で体力のない企業は1か月間売り上げがなければ倒産の危機に瀕する状態に陥っている。

 企業は利益を確保するため、競争がないか少ない製品については不当というほどの高い価格を設定して、競争の多い製品では価格を2,30年前と同等程度に据え置いた。

 そして社員の数を最低限に抑え、緊急の時に正当な対応ができなくなっている。電車のホームには駅員を配置しない時間があり、不慮の事故が発生すると大きな惨事になる可能性を秘めている。

 ワンマンカーは危険だ。だが電鉄会社ではそれを承知で事故が起こらないということを前提にそんなことをしている。8両や10両の車両を一人で管理することなどできるはずがない。

 だがこんな状態も観点を変えれば日本の企業の能力や潜在的な体力が溜まっていっていることも意味する。

 できるだけ低いコストで生産し、それをサポートする人員も少なくて済むようになっている。そんなことは欧米に各国はできない。

 今後政府がどのような施策を打ち出すか不明だが、日本の企業の潜在的な体力は極めて充実しており、国際競争力は高い。

 日本の株価は日銀が買わなくても上がる時期がくるだろう。それはいつなのか分からないが、日本の企業の潜在的な能力を考えれば投資家は日本の株を買わざるを得ないだろう。それはもうすぐそこだ。

 だが日本の弱みは政府と官僚だ。欧米と比較すると能力、行動力は格段に低く、特にアメリカに対しては物を言えない。日銀の総裁も能力が低い。理事全員で討議して結論付けた施策をただ発表するだけで、民間の会社が何を望んでいるか、全く理解していない。そもそも経済とは何かを知らないだろう。

酒巻 修平

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