今日の言葉
二宮翁夜話より引用
51)己に克つのが人道
翁のことばに、天理と人道との差別を、よく差別できる人は少い。およそ人の身があれば欲があるのは天理であって、田畑に草が生ずるのと同じことだ。堤は崩れ、堀は埋まり、橋は朽ちる、これがすなわち天理なのだ。そこで人道は、私欲を制するのを道とし、田畑の草をとるのを道とし、堤は築き立て、堀はさらえ、橋は掛け替えるのを道とする。このように、天理と人道とは別々のものだからして、天理は万古変らないが、人道は一日怠ればたちまちすたれる。だから人道はつとめることを尊び、自然にまかせるのを尊ばない。そうして、人道でつとめるべきことは、「己に克つ」という教えだ。「己」とは私欲のことだ。私欲は、田畑にたとえれば草だ。「克つ」とは、この田畑に生ずる草を取り捨てることをいうのだ。 「己に克っ」というのは、わが心の田細に生ずる草をけずり捨て取り捨てて、わが心の米麦 を繁茂させる勤めのことだ。これを人道というのであって、論語に「己に克って礼に復る」とあるのは、この勤めなのだ。(六)
【引用 二宮翁夜話(上) 福住正兄:原著 佐々井典比古:訳注】
最も難しい人間関係は内側の自分自身
家族、職場、地域、趣味の集まりなど、どこに行っても人間関係が存在します。
楽しくて嬉しい人間関係は良いですが、考えや意見が合わない難しい人間関係もあります。
そのような時、関係性は複雑になり、争いになったり、その場から逃げ出したり、精神的に苦しんだりすることもあります。
こうした問題が続くと、人間不信になることもあります。
しかし、本当に最も困難な人間関係は、他人ではなく、自分自身との関係です。
実際、外部で難しい人間関係を作っているのは、内側にいる自分自身かもしれません。
内側の自分が主張したり、欲張ったり、怠けたり、恐れたりすることを優先すると、外部の人間関係も難しくなります。
外部の人間関係がうまくいかない時、他人を変えようとしませんか?
しかし、内側の自分が外部の状況を作り出しているなら、変えるべきは内側の自分自身です。
二宮金次郎はこのことを「己に克つ」と表現しました。
自分自身を理解し、自己制御することで、自分と内側の自分を一致させることができ、物事はスムーズに進むことがあります。
しかし、内側の自分とどう向き合うかは、意外と難しいです。
自分が何かを望めば、内側の自分は「面倒だ」と言うかもしれません。
常に、自分と内側の自分は相反しています。
だから、最も難しい人間関係は内側の自分自身との関係性にあるのだと思います。