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家族は他人と思うことが仏の道

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今日の言葉

菜根譚より引用

前段21)理想の家庭
家庭のなかには一個のまことの仏がおられ、日常の生活のなかには一種のまことの道が存在している。それはほかではない。常に人間が、誠実な心をもって温和な気分を職し、にとやかな顔色をし、やさしい言葉遣いをして、親子兄弟互いに思いやり、その間に少しもわけ隔てがなく、からだも互いに解け合い、気持も互いに通じ合うようになれば、ことさら坐禅をして、息を調え心を内観する仏道の修行をするよりも、この和らいだ日常の家庭生活のなかに、真実の仏や道が現われて、はるかにまさること万倍である。

【引用元 講談社 菜根譚 著 久須本文雄】

家族は他人と思うことが仏の道

人間関係の中で最も難しいのは自分自身との関係であり、次に難しいのが家族との関係だと考えられます。

自分自身との関係が難しい理由は、心の中に「こうしたい」という欲求と「守りたい」という本能が常に相反しており、この複雑な心理を理解することが容易ではないからです。

一方、家族との関係が難しい理由は、「家族だからわかっている」という暗黙の前提でコミュニケーションを取ってしまうことにあります。

例えば、机の上にあるペットボトルを取ってもらいたい時、職場では「すみません、机の上のペットボトルを取っていただけますか」と丁寧に頼むところを、家族に対しては「それとって」と簡素な言葉で済ませてしまいがちです。

この「家族だからわかってもらえている」という無意識の前提が、実は家族の関係をこじらせる原因となることがあるのです。

この句では、家族を思いやり、誠実な心を持って笑顔で優しい言葉で接すれば、お互いに心を開き合えると説いており、これが仏の道だとしています。

確かにその通りです。しかし、上記のように家族に接するためには、「家族も他人であり、お互いに完全には理解し合えていない」という前提で接することが重要だと考えます。

「理解し合えていない」からこそ、理解を深めるためにどのような言葉を使うべきか、という思考が生まれ、相手の立場に立ってコミュニケーションを取れるようになるのではないでしょうか。

菜根譚前段「理想の家庭」を読んで、そう感じました。

オススメの本

※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。

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