経営講座 -営業マンー

営業行為をするときには話すことは当たり前です。話ができない人は事務方に回るなど職種を変えなければなりません。しかし、前にも書いたように営業マンは話す前に相手の話を聞く耳を持たなくてはなりません。

 とは言え、聞くだけでは営業になりません。自社の商品の説明、会社の考え方、その他話すことは種々あります。だから営業マンは話上手です。しかしここに一つの落とし穴があるのです。

 営業マンは話すときに話してはならない会社の機密も話します。そんなことはないだろうと思うでしょうが、これは事実です。例えばある商品を「リヒテンシュタイン」から仕入れているとします。それは会社の機密ですが、自慢したいからか、営業マンはその「リヒテンシュタイン」という仕入れ国をつい口にしてしまいます。

 仕入れ価格を口に出してしまう不届きな営業マンもいます。だから私は営業マンが話してもいい情報だけを与えることにしています。営業マンの感覚では話してもいいと考えていることの中にも話してはならない事が沢山含まれています。

 小規模の会社で大会社と取引をしていることを自慢する営業マンがいます。その取引額が小さければ何ということはないのですが、自社の40%も1社に売っているということになればその会社との取引は考えものです。

 いつその大会社の取引先が取引を中止するか分からないのです。色々な理由で大会社は自己都合で簡単に取引先を変更します。また相手の担当者が変われば要注意です。次の担当者は何を考えているか分かりません。

 最近富士フィルムの販売代理店がその代理権の中止を多くの会社に言い渡しました。理由は主力商品の販売が大幅に減少したからで、これは正当ですが、切られた販売店は倒産の憂き目に合います。

 私は前から経理処理が分かりました。新規の相手と取引を開始するかどうかを決定するために決算書の項目をランダムに聞くことにしています。売上はどのくらいか、社員数、銀行は何行と取引しているか、資産はどれくらいか、その他その会社の現状の把握のために聞きます。決算書を出して欲しいというと会社に相当な格差がない限り拒否されます。しかし聞くことにはある程度答えてくれるものです。そこで決算書の項目をランダムに聞いてそこから決算書を組み立てるのです。そうするとその会社が嘘を付いているのも分かるし、問題点も浮き彫りになります。今にも倒産しそうな会社もあるので、この聞き取り調査は有効な調査手段になります。

 これは勿論一回で全て調査できる訳ではありません。こういうときに営業マンに聞くのが早道です。彼らは必ずしゃべります。話してはならないことと話すべきことの区別が付かないのだと思います。

 話は変わりますが、5色刷りの名刺を作って欲しいなどの要望を受けることがあります。これは絶対受けません。会社は経費を掛け、それを利益に結び付かせなければならない指名があるのです。

 もし5色刷りの名刺を渡すことで売り上げが上がるなら勿論そんな経費は惜しみませんし、金でできた名刺でも支給します。どうでしょうか。大体5色刷りの名刺はデザインも悪趣味です。たった何千円から出費増で営業マンにやる気を殺ぐのもこころもとないのですが、会社というのはそんなものです。

 その他営業マンは(特に小さい会社の場合)は事務方の要望や会社の方針を軽く見る傾向にあります。営業がなければ会社は成り立たないので、正当であれば率先してその要望を受け入れます。しかし案外意味のない提案が多いし、自分だけのためにする要求が多いのも事実です。

 営業マンの仕事は売ることですが、それだけではありません。顧客のニーズの変化、新しい商品の需要、売り先の経営状態、など会社の将来のためになる情報をもたらしてもらいたいものです。例えば顧客の社員の給料の遅配などは重要です。そんな情報に接すれば、会社は直ぐに取引を中止します。まもなく倒産する可能性が高いと思われます。そうでなくても「君子危うきに近寄らず」です。

 かなり営業成績の良い営業マンは注意して観察したいものです。一番成績の良い人でなく、2番、3番の人です。こんな人は会社に謀反を起こす人がままいます。勿論そうでない人が大半ですが、経営者は個々の営業マンの動向に留意が必要です。

酒巻 修平

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