経営講座 -銀行取引- その3

銀行は用意された自動評価システムで決算書を分析して、会社への貸金の可否を評価するようになってきています。行員が決算書からでは会社の隠れた欠点を見つけ出すことができないとか、時間の効率を考えてのことだと推測できますが、銀行がそれに頼りっ放しにするというのはどうかと思います。

 その評価で概略のことは判定できたとしても、評価は決算書に基づくので決算書に表れない要素は評価のポイントにはならないのです。例えば社員数もそうです。少ない社員で業績を上げている会社の方が多い社員数で同じ業績を上げている会社より優秀な会社と言える筈です。

 また社員の入れ替わりの頻度、優秀な社員が会社に留まるか退職するかという観点、残業の多さ、社長の資質、社員一人当たりの給与、ボーナス、そんなことは決算書には出てこない項目です。それらは会社の真の姿を知る大切な事項です。

 小さい会社は社長を見て会社を評価しなければならないと教えられています。しかしどうしてもそんな無味乾燥な数字から会社を評価する傾向がだんだん強くなってきているように思えるのです。これは改めなければなりません。銀行が発見できない方法で決算書を改竄することができるのは前項で書いたとおりです。

 銀行は融資をしてもいいかどうか迷う時は信用保証協会に保障を依頼しますが、信用が厚い会社にはプロパーと言ってそんな保証なしでお金を貸してくれるものです。保証会社が設定している保証枠と、特定の銀行が独自に保有している保証枠があります。東京系のメガバンクは東京信用保証協会に特別枠を持っています。そんな銀行とタイアップが上手くいけば別枠で保証を受けることができるのです。

保証制度の無担保の限度額はかなり大きくて最高で1億6000万円ありましたが今はもっとあるかも知れません。みずほ銀行のは一つの母体は第一勧業銀行で、政府との繋がりが密で、かなりな額の銀行独自の枠を持っていました。だいたい東京系のメガバンクの特別枠はかなりの額のようです。

資金を調達するのは大きく分けて3つあります。一つは銀行などからの借り入れ、そして株式の発行、最後の一つが支払いと受け取りの時間差をつけることです。月末で締めて翌月末に支払い、片や受け取りは月末で締めて翌月10日に集金すれば自然に資金繰りが好転します。

トヨタ自動車はこの方式で資金繰りをしているので、資金が豊富にあります。手形を振り出す方法もありますが、これは危険で一回手形の支払い(落とすと言う)が遅れればほぼ間違いなく倒産します。

長い目で見た銀行取引を考える上で効果的な方法は一定の定期預金をしてその預金を担保に融資を得ることです。資金があるのにそれを担保にしてお金を借りる意味はないと思うでしょうが、それがあるのです。

会社の状態を銀行が把握していないときは、預金以上の貸付はしてくれないでしょうが、会社の業務内容が良ければ例えば1000万円の預金を担保に3億円とかの貸金をしてくれるケースもあります。

有能な行員が担当者になれば兎に角仲良くなることです。手っ取り早いのは一緒に食事をし、酒を飲むことです。ゴルフでは時間が長すぎ、相手もそれなりに身構えますが、酒を飲む程度は気軽に付きあってくれるでしょう。銀行員はだいたい酒が好きなようです。

こんなことがありました。その方は銀行の課長さんでしたが、あまり同僚や部下の人には好かれていませんでした。私は仕事ですからそんな好悪の感は持っていなかったので、できるだけ仲良くしていました。

ある時酒を飲みに行こうと誘うと自分の家の近くが良いというので、適当なところを見つけて飲んでいました。食事をし、酒も大分過ごしたので帰ろうとするともう一軒付き合って欲しいと言われました。

それで付いて行きますと、汚い居酒屋に案内され、曰く「ここは私の隠れ家のような店で、今まで会社(銀行)の人は誰も連れてきたことはありません」。そこでその人はとてもリラックスして私と酒を共にしました。それからは無茶でない限り我が社の融資の案件は断られたことはありませんでした。人というのはそんなものです。

酒巻 修平

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