今日の言葉
菜根譚より引用
前段17) 退歩は前進、利他は自利
世渡りをするには、人と先を争うことをせずに、常に人に一歩を譲って控え目にするのが、自分の人格を高尚にする所以の道である。その一歩を譲り退くということは、これとりもなおさず、数歩を前進さす伏線ともなるものである。人を待遇するには、厳格に過ぎてはよくないので、一分ほどは寛大にすることが、これやがては、自己の幸福をもたらす所以の道である。このように、人に利益を得させることは、つまり自己を利するための土台となるものである。【引用元 講談社 菜根譚 著 久須本文雄】
争うよりも1歩譲ることが自分に幸福をもたらす
最近の社会を見ていると、ネット上でも現実社会でも口論をする人をよく見かけます。
なぜ口論が起きるのでしょうか。多くの人が「自分は正しく、相手は間違っている」「自分は得をして、相手は損をしていい」という思考パターンに陥りつつあるからだと思います。
人間誰しも「正しくありたい」「得をしたい」と思うものです。
そのため、自分の考えや意見、価値観を優先させがちです。
しかし、「正しさ」「得」は状況によって変わるものですよね。
以前のブログでも書きましたが、車がすれ違えない狭い道で車同士が向かい合い、ドライバー同士が「どちらが道を譲るべきか」で口論していましたが、そもそも2人とも間違っているのです。
なぜなら、どちらかが先に道を譲っていれば、わざわざ時間をかけて口論する必要もなかったからです。
この段では「一歩を譲り退くことは、自己の幸福をもたらすもの」と説いています。
口論していたドライバーも、このような見識があれば、無駄な争いを避けられたのではないでしょうか。
菜根譚前段「退歩は前進、利他は自利」を読んで、そう感じました。
オススメの本
※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。