大組織も3人で動く

 さる大銀行の支店長と酒を飲んだことがあります。この人は結婚の仲人を頭取にやってもらったくらい、将来を嘱望された人でした。

 ただ優秀過ぎて、部下の人はこの人の言っている意味が分からないとこぼしていたことも事実です。後にどういう理由か分かりませんが、銀行を退職してしまわれたと聞きました。

 さて、この人の言ったあることがとても印象に残って、今でも覚えています。「この銀行を動かす人は何人いるか」という私の質問に答えたものです。「3人かな」というのがその人の意見でした。

 私はこの言葉を違う意味に取りました。即ち「この銀行は3人で動かされている」と。私自身もこのことをそれまでの経験で何となく感じていましたので、非常に鮮明に私の頭の残ったのです。

 その後、機会があるごとにこのことを思い出し、考え、検証しましたが、それに反する事実が見当たらず、このことが正しいと信じることになりました。

 仮にある重大な事項を話し合い、結論を出すと考えます。10人が話し合いに参加しますと、その10人には色々な意見もあるでしょうし、そのうち何人かは他の人に追随するでしょう。

 結局10人の話し合いは3人くらいの人の意見に集約されます。そしてその3人が実質的に結論を出し、それに沿ってその事項は運営されて行きます。 

 10人と言うのは比喩で大勢或いは多数という事です。ここには権力関係もあるでしょうし、それなりのしがらみも存在しています。どっちにしても意見は3っつくらいの範囲の外には出ません。

 但しその3っつの意見は必ずしも話し合う事項に対する最適な結論には導きません。その時良い意見を言っても採用されないケースがいつも存在します。

 3っつの意見は3人の意見です。もし異なった3っつの意見があったなら、そのとき情勢で一番力の強い人の意見が採用されます。これが人間社会です。

 このようにして最終的には1つの意見が採用されて、それを基準にその事項は運営されて行きます。かくて組織は必ずしも最適な方向に向かうとは限らなくなります。

 国家、大企業、国際社会、全ての大組織が3人以内の人で運営されていることがある限り、間違いの元で進んで行くことはままあります。勿論正しく、最適な方法が採用されることが多いのですが、間違いの方向に進む危険はいつも孕んでいるのです。

 更に未来は予想できないという事実も関係してきます。人の社会は人により運営されているのですが、予想は目に見える事実だけを対象に行われますので、ここが一番大きな問題の出発点になるのです。

 本当に正しいことが分かっていても、人には感情があります。感情に左右されて事実を事実として見ないことも多いのです。人の感情は未来予想の要素に入れないので、予想はまず外れると言って良いでしょう。

 何故国際連合の理事国だけが核兵器を保有することができるのでしょうか。何故日本の竹島が韓国に占領されなければならないのでしょうか。どうして取り戻さないのでしょうか。

 本当にEUは存在価値があるのでしょうか。北朝鮮を野放しにしたのはどうしてでしょうか。日本国の借金が1000兆円以上あるのは何故でしょうか。

 3人、そして最終的には1人の人が大組織の重大な事項を決定しています。それを止める方法はあるのでしょうか。ありません。我々は間違った方向に誘導されても、我慢して付いて行かなければならない運命にあります。

小さな組織は一人で全てを決定します。

 あなたが最後の一人になる自由はありますが、その時にはあなたも間違いを犯すかも知れません。それが人間の運命です。 

酒巻 修平

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