今日の言葉
イソップ寓話より引用
299)農夫と木
人間というものは、儲けを追求する時ほど積極的に正義を大事にし尊重するわけではない、ということ。 農夫の土地に木が生えていたが、これは実を結ぶことなく、ただやかましい雀や蝉の憩いの場となっているだけだった。農夫はこれを役立たずとして伐り倒そうと思い、斧を持ち出して一撃を加えた。すると蟬と雀が、自分たちの憩いの場を伐らないでほしい、残しておいてくれれば、そこで歌を歌って農夫を楽しませてあげる、と嘆願した。農夫がこれに一顧も与えず、第二第三の斧を加えたところ、木に空洞が出来、蜜蜂の巣と蜜が見つかった。農夫は舐めてみて、斧など放り出し、この木を聖木として崇め世話するようになった。【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
提案するときに必要なこと
この寓話は、商品を提案するときなどに必要な考えが書かれていると思います。
農夫の土地に生えている木は、雀や蝉の憩いの場所だったが、農夫は雀や蝉の鳴き声が「うるさい」と感じていたので、木を切り倒そうとした。
にもかかわらず、雀と蝉は「歌を歌って楽しませてあげる」と提案し、木を切らないように嘆願した。
当然、農夫はその歌が「うるさい」と感じていたので、提案を受け入れず木を切り倒そうとした。
もし、雀と蝉が最初から「この木は蜂蜜がとれるから切り倒さないほうがいい」と提案していたら、農夫はその提案を受け入れたと思う。
最近、「うちの商品・サービスは最高です」と、いきなり商品のメリットだけを提案する営業が多い。
しかし、客にとって必要なのは、商品のメリットよりも、商品を使うことで得られるメリットのほう。
客にとってのメリットを提示するには、お客様の課題や問題を事前に把握して、自社の商品を使うことで、いかにして課題や問題がクリアにされるかをしっかり説明しないとならない。
最近の営業を見ていると、蝉と雀のような提案をしてくる人が多いと感じます。
イソップ寓話集の「農夫と木」を読んで、そんなことを感じました。