心が弱い故に成立した明治維新

  人が他の生物と違うところは脳が極端に発達したことだ。脳は本来体内の諸器官の調整や体躯の活動などを司る機関だが、脳自身も脳によって作動させられる。

 だから人の生活には自己複製(生殖作用)だけではなく、脳を活動させる目的がある。この脳の機構の解明は簡単ではないが、現象を観察すると色々に動いていることが分かる。

 人は安定を望むが飽きもする。もっと上を目指す発展願望は大方の人にあるだろうし、積極的であったり消極的であったりする。堂々としているかと思えばこそこそと身を隠したくもなる。怠惰であるかと思えば勤勉にもなる。

 人の悪精神例えば恨み、妬み、強欲、そういうものの存在を忘れてはならない。歴史は案外そのような人の精神によって動かされるものだ。明治維新はこのような精神が生んだ一種の政変であった。

 忘れてならないのは明治維新がフランス革命とは違い、単なる覇権争いであるということだ。徳川家の独裁を嫌った薩長土肥が現状を変更しようと考えたのが遠因だ。

そんな藩上層部の考えとは別に、一番下級な階級とされた裕福な商人、武士に押さえつけられていた公家たち、下級やさらに武士かどうかもはっきりしない足軽以下の若者がただ祖先の勲功だけで高い地位についている武士たちを恨み、妬んだことを起爆剤として明治維新は成立したのだ。

 上記耳クソ武士たちは食うや食わずの生活をしていたし、下級労働に追い回されていた。片や毎日豪華な食事をし、美しい遊女を抱く上層の武士の生活を見るにつけ、この貧富の差の出所は単に先祖の一人に勲功があったからだけだと思っていた。

 徳川幕府も同様で、家康一人が天下に覇を唱えたという一事で成立して大した政府が能力もない継承者が綿々と続いて政府を独占してきた。彼らは自身のためだけの政策を長年続けていたが、経済的にはほぼ無策で行き詰まっていた。たった一人の武士が立てた政府はいずれ崩壊する運命にあるのを歴史は教えているが、国民のための国家を作る努力をしなかったので、やはり瓦解してしまった。

日本との貿易または征服を画策する諸外国の出現が明治維新成立の出発点だ。そこに豪商たちが絡み、倒幕をスローガンにする耳クソ武士に資金援助をしたものだから火は大きくなった。

討幕運動を進める中で下級の者たちにも今まで羨んでいた生活が実現できた。倒幕に関する話し合いという名目の元毎日料亭で女と遊び、酒を酌み交わして豪華な食事をする毎日がやってきた。それはいままで羨んでいた生活だ。ただ大義名分もあったので、この暴走行為は正当化された。

 勿論何がその当時に日本になければならないか、どのように国体とはあるべきかを考え実行しようとする目のある人達もいた。

 その人達が論理のリーダーとなり、この明治維新という事変は進んでいったのだが、その過程で目のある人達はほぼ殺害された。後の残ったのは雑魚ばかりであったのは日本にとっての不幸であった。明治の元勲(と称される)たちは漁夫の利を得たというわけである

 大儀名分はあったのだが、本当のところは自分たちが良い生活をしたかったためだった。山形有朋などは足軽以下の仲間でしかなかった。頭は良く仕事もしたが、精神は腐っていた。 

 卑しい精神は変えようがない。人の間に階級差があってはならないと武士を廃止したのは良いが、自分たちだけは元勲として特権階級に留まった。下級な精神の持ち主でなければできない政策である。

 そんな階級制度も本当の意味の民主主義国であるアメリカが日本の敗戦により制度を改めるまで続いた。

 偉大な政治家や独裁者はいつも不安を抱えている。そんな精神の拠りどころが天皇である。天皇制は具体的な意味では必要不可欠とは言い難いが宗教的な守り神として存在して欲しいと願う人が多いことがこの制度存続の理由になっている。

 明治維新成功の要因であった諸外国、豪商、天皇は実質的な意味では排除され残ったのは一部の元勲だけだった。本当の意味の維新はアメリカがもたらしたと言っても過言はないだろう。

酒巻 修平

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