池江里佳子と癌
池江里佳子はまだ20歳だったと記憶する。その若い人がどうして癌に罹病するのか。ひと昔前までは癌は老人病で、寿命が延びるに従って癌を患う人が増えたと学者も言っていた。
どうもそれは違うようだ。若い人が癌に罹ることも多くなって、癌発症の原因は根本から見直さなければならない。傾向だけを見ると将来益々癌は増えると予想されそうだ。
しかし90歳以上の人が癌になっても進行が遅い。どういうことだろうか。どうも癌は細胞が新陳代謝するときにミスを犯した結果ではないかと考えられる。
ではどうしてミスを犯すのだろうか。振り返って見れば癌は昭和32年(1957年)ころから増加している。江戸時代には癌患者などほとんどいなかったし、我々が若い時にはそうだった。
癌は何故増えたかを考える時にどうして昔は少なかったのかと考えるのも何かのヒントを与えるだろう。
朝鮮戦争を得て日本の経済が成長、回復するに従って車が増え、その排気ガスが体内に入り込み悪さをしているとも考えられる。また寄生虫の駆除が進み、体内が清潔になったのではないかと勘繰る人もいる。
最近テレビで見たが、新しい治療法として癌細胞にウイルスを注入して癌細胞を食べさせてしまうという臨床実験が進んでいて、良い効果を現しているらしい。
ウイルスや寄生虫は健全な細胞より不健全な細胞を先に攻撃する。そうすると人体から寄生虫がいなくなったのが癌多発の原因ではないかとも推測できるではないか。
余談だがマリア・カラスとう往年の女性オペラ歌手は相当太っていたらしい。ところが医師の指導の元で回虫の卵を服用し、一年で写真に見るようなスマートな体になった。
確かに必要以上の脂肪や肥満物質は健全な細胞ではない。回虫はこの細胞を食べてくれたらしい。今でも回虫痩身法というのが現存していて、痩せたい人はここで治療を受けると確実に痩せることができると聞いた。
腸の中には何千種類もの菌が寄生している。これらの菌の中には人体に悪い影響を与える菌もいるが、人体に取ってなくてはならない菌も多い。
人の体はほぼ元ウイルスによってなりたっているという研究がある。ということはウイルス=人体、あるいは人体=ウイルスという等式もなりたつようだ。
そこに更に寄生虫。人の体の成り立ちは謎で誰も解明できていない。だが何かと共生していることは事実だろう。その共生物を取り除くと悪影響が発生する可能性は低くないだろう。
ビヒズス菌がいなくなれば便秘を起こすだろうし、大腸菌も何かの役目を果たしている可能性がある。外から取ると多すぎて食中毒を起こすこの菌ももしかしたら体を守っている菌かも知れないのだ。
医学は症状を改善する学問であり、人体の成り立ち、根本的な機能や制御システム、そんなことを研究する学問ではない。小さな部分や器官がどういう働きをするかは研究するのは生理学の分野だと思うが、体その物を研究する学問はないようだ。
遺伝子についてはだいぶ分かってきたようなので、いずれ遺伝子由来の難病は治癒できる時代がくるように思われる。何事も原因があって結果が発生するので、その原因が分からなければ悪い結果を修正することはできないだろう。
癌が何故発生するのか。思考し、突き止める研究が待たれる。それには長い研究期間を必要とするだろう。その間は時間と経費が浪費されることになりそうだが、やらなければいずれ人の90%は癌で死亡する世界が現出するかも知れない。
発生して癌を治療するより最初から発生しないように防御することの方が効率的であるに違いない。ほとんどの癌は自覚症状を伴わない。だから発見したときには手遅れになっていることが多い。
自覚症状がないのは癌が自己の細胞の一部だからだ。だから癌は細胞分裂、すなわち新陳代謝のミスであると考えるのだ。
新陳代謝は古い細胞がアポトーシス(簡単に言えば細胞の自殺)して新しい細胞と入れ替わることにより成立する。そのアポトーシスが正常に行われなければ古い細胞はそのまま生き残り増殖を繰り返す。そして癌に意向する。
その程度までは分かっているのだろうが、どうしてアポトーシスしないのかはやはり人体の初期構造や機能を解明しないと分からない。
新陳代謝は二つの条件が成立することで完全な形で行われる。一つは睡眠による各器官の作用の停止またはスローダウンで、もう一つは太陽光線の影響が薄くなることだ。その二つが同時に発生すると新陳代謝が上手くいく。言い換えれば夜に寝れば良いのだ。
タレントたちは夜昼逆転した生活をすることが多く、これが癌を多発させるのではないかと思っている。
人は自然と共生している。それを人工的に止め、変化させると体を健康に保つことは難しいだろう。
酒巻 修平