目次
今日の言葉
イソップ寓話より引用
175)旅人とプラタナス
夏の盛りの真昼どき、旅人たちは炎暑にぐったりしていたが、プラタナスを見つけたので、その下にもぐり込み、木蔭に横になってひと息入れていた。そしてプラタナスを見上げつつ、「この木は人間にとって何と役立たずなんだ、実もつけないし」と言い合った。するとプラタナスが遮って言うには、「恩知らずどもめ、私の恩恵にあずかっている今でさえ、私を実なしの無用者と呼ぶのか」このように人間の場合でも、隣人に親切を施しているのにその善さを倍じてもらえないほど不運な人がいるものだ。【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
与えられている物事に気づくこと
プラタナスは、スズカケノキ科の落葉樹で、大きな葉で木陰をつくるために日本中で植栽されています。
イソップ寓話集の「旅人とプラタナス」では、真夏の昼時に木陰で休んでいる旅人が、その木陰を作っているプラタナスを批判しています。
様々な恩を受けているのに、その恩には気づかずに相手を非難してしまうことはよくありますね。
例えば、親の努力で家族が生活できるのに、子どもはその努力を知らずに親を非難してしまう。
衣食住に困ることのない恵まれた日本の社会なのに、「日本はダメだ」と言ってしまう。
今与えられていることには気づかずに、与えてもらえていないことばかりを求めてしまう。
寓話では、このような人を「不運な人」と表現しています。
なぜ、このような人は不運になるのでしょうか。
それは、幸運に気づけないからだと思います。
幸運とは、既に与えられていることに気づくことで見つかるものだからです。
イソップ寓話集の「旅人とプラタナス」を読んで、そんなことを感じました。
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