可哀想な人

 電車にまつわることが多い。最終電車に遅れまいと息を切らして走り込んできた人が降りてくる人とぶつかり、電車に乗り遅れる。そこから家までは遠い。タクシー代は10000円以上だ。傍から見ていると滑稽とも見えるが本人と取っては深刻な問題。近所に公園はなく、ベンチで一夜を過ごすところもない。その人の運命や如何に?

 今はもうなくなったかも知れないが、東京から岐阜の大垣行きの列車があった。昔は大酒を飲んで酔っ払う人も多く、電車に乗って眠り込んでしまう。終点で車掌に起こされるとそこは大垣だった。もちろんタクシーで帰ることなど考えられない。そんな人を目当てに開いている旅館も数軒あったと噂があるが。

 あわてんぼうの人がやることの一つに反対行きの電車に乗ることだ。注意して見ると自分の乗る電車はプラットホームのどちら側のか書いてあるが、ついうっかりと反対行きに乗ってしまう。2,3駅行くとやっと気が付く。最近は車内放送、駅の案内標識も要を得ていない。私もよくやる。自分が馬鹿だと気が付くのはこんな時だ。

 やはりプラットホーム上でのできごと。向こうから見知った人がやってくる。ビルの隣に勤めていて、時々廊下で出会う女性だ。今までは挨拶も交わしていないのに外に出て、緊張感も緩んだのか、向うから笑顔で挨拶してくれる。こちらも「こんにちわ」と返礼をする。しかしその人は自分の傍を通り過ぎる。振り返るとその人の友達らしい人と挨拶を交わしている。人違いだった。道理で通り過ぎる時、その人は怪訝な表情を浮かべ、胡散臭いやつとそそくさと通り過ぎたじゃないか。

 老人が空いている優先席に向かって歩いていく。でもその前に若い女性が急ぎ足で先に席を占めてしまった。老人は仕方なく、つり革を持ちながらきょろきょろと空いている席を探している。しかしない。これでは滑稽さがない。日本の道徳の衰退と若者(特に女性)の考えの無さを痛感する。

 深夜のコンビニ。昼から何も食べていない。家に帰っても買い置きの食べ物はない。幸いおにぎりが棚に2つ残っている。近づくとその前にやはり男性客がいて、そのおにぎりを2つとも買ってしまった。もう弁当も売り切れか処分されてしまってない。仕方なくソーセージのパックを買う。あーあ。

 給料日前のコンビニ。何とか安い弁当を買おうとしてポケットを調べると丁度足りる額の小銭がある。レジに持って行って清算するために小銭を出したところ、50円玉と思っていたのが、一円硬貨。仕方なく10円玉を揃える。しかしそれも4枚。足りない。溜息を付きながら、最後の10000円札を財布から出す時の虚しさ。

 朝コンビニで買い物をしようとした女性がストレスを抱えた若い男に故意にぶつかられた。こちらは弱い女性。文句を言おうものなら、ナイフでブスリとやられるかも知れない。我慢をして出社。そんな日にはミスが重なって意地悪な女性上司にくどくどと小言を言われる。おまけに仕事が溜まっていて、残業をしなければならない。彼氏もいない。帰宅すると家の前で猫がじゃれついてくる。猫でも飼おうかな?

 雨がじゃじゃ降り。突風も吹き荒れる。何とかビニール傘を風に向かってささないと傘の骨が折れる。その時すれ違う人の傘が自分の傘に当たった。傘は風に煽られ骨が2本外側に折れて、そこから雨が降り込んでくる。もういけない。仕方なく、もう一本ビニール傘を買うが壊れた傘を捨てるところはない。会社まで持って。朝出る時は曇だったので、良いバッグを持って出たのだが、それもびちゃびちゃ。あーあ。

 今日はデート。一番のお気に入りの服を着て、化粧もばっちり。それにこの間かった素敵なイヤリング。仕事もスムースに運び、3,4時と時間が過ぎて行く。私の誕生日だから、フレンチをご馳走してもらうことになっている。待ち合わせは6時、銀座の喫茶店。ハイヒールを履いた私は少しいつもよりスタイルが良い。さあ5時。少し時間を遅らせて会社を出た。ちょっと遅れるかも知れないが、5分ほどだろう。天気も良さそうだ。会社と出て歩き始める。工事現場は道が悪い。気を付けながら、歩いたつもりだったがヒールが道の割れ目に入り込んで転倒。ヒールは折れて、左足は捻挫。折角の洋服がすごく汚れた。

 ここは酒場。しばらく飲んでいると隣に一人の美女が座った。連れはいない。そのうち互いに話しをするようになり、相手もこちらも酔っている。何か気の利いた言葉を言いたいおっさん。とっておきのジョークを並べると美女は笑って聞いている。これは上手くいくぞと張り切って更にジョーク。おやじのこと、軽い下ネタが混じった。笑って聞いていた美女はそのジョークを聞き終わるとトイレに立って出て来るとそのまま席を変わってしまった。

人生いたるところに青山あり。多少の失敗や嫌なことは乗り越えて進まなければならない。男は辛い。女も辛い。あーあ。

酒巻 修平

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