中小企業と実体経済

 昨年の税収は過去最高額になって、安倍政権の3本の矢の成長戦略の改善が見られたと言えるだろう。

 しかし国民は裕福になったとは感じない。これはどうしたことだろうか。金の流れを見る時に会社単位で見るのと個人単位でみるのでは、全く違う結果になるだろう。

 会社は利益を稼ぎ、税金を納める。国家財政は好転するだろうし、国全体では豊かになった。これは事実だ。しかし会社から個人、すなわち従業員に多くの金、給料が渡らなければ個人単位としては裕福になったとは言えないだろう。

 年金もそうだろう。国という会社から従業員たる老齢者に金がより多く回らなければその人たちの暮らしが良くなったとは言えない。だから国内消費は上がらない。

 最近会社は株主への金、すなわち配当を厚くする傾向にある。ということは従業員に行く金はその分少なくなる勘定だ。昔は税金を支払うくらいならボーナスで支払ってしまった方が喜ばれると良く言ったものだ。

 今は会社が支払う事業税などの税金の率が低くなった所為もあるだろうから、このようなことになったが、会社がいくら税金を支払おうが資金繰りには支障は来さない。税金を支払っていれば銀行はお金を貸してくれる。

 こんな感覚が今はない。株主の力が強くなったのか、それとも株主の声が大きくなったのか。政府(安倍ちゃん)は投資をできるだけ多くしろと奨励する。それでは物を作る人がいなくなるじゃないか。

 経済評論家、政治家、共産党などは小規模の会社のことをほとんど知らない。安倍首相は小さな会社に勤めたことはないし、生まれるとすぐに裕福な生活を始めた。

 私は貧困対策を望んでいるのではない。人は自分で会社を経営するかサラリーマンになるほか収入の道はない。そのうちの小規模な会社に関して政策を考える人はそんな会社の実体を知らない。

 共産主義や社会主義とは能力に応じて働き、平等に取るということだったと記憶している。もしそうならこんな馬鹿な政策はない。能力のある人は一所懸命働かないではないか。

 大きな金を稼ぐ人はそれなりに大きな人柄と能力がある筈だ。それが一所懸命働かないと会社など経営していけない。経済も大きくならない。だから共産主義や社会主義は世界で成功した国は皆無だ。

 共産党は貧困をなくすことを目的にしている。それには能力のある人に働いてもらって金を稼いでもらわなければならない。それには能力の低い人より大きな賃金を支払わなければならないだろう。

 ここに社会主義、共産主義の矛盾があり、結局成功はしないのだ。人は能力の差を持って生まれる。これは厳然たる事実であり天の配剤だ。だから社会を完全に平等にすることはできない。

 平等にする努力をすればするほど、社会は歪になり悪影響の方が多いだろう。だがしかし貧困な人や働けない人も救うことも重要なことだ。これがなければ文化がないのと同様である。

 日本では零細企業や中小企業の数やそこに働く従業員の数も極めて多い。経済や経営の本を開いてみよう。そこに零細、中小企業の運営の方法が書いてあるだろうか。

 マクロなことを書いた本はいくらでも見つかる。書くのが簡単である。理論だけを書けば良いのだから。それが実際の社会に役立っているだろうか。マルクス経済、近代経済、なんやら経済。そんな理論を唱える人は中小企業で働いたことがあるのだろうか。

 

 私も経済の本くらい書ける。自分の考えたことを書けば良いだけだ。理論は実践して結果がでなければ空論でしかない。上記の理論は全て空論だとしか思えない。

 何故かというとそこには人の精神のありようが考慮されて記されていないからだ。中小企業で社長の人格が低いなら社員は働かないだろう。だれでも分かることだが、こんなことは本には書いていない。

 書いてあったとしても観念的だ。やる気が大切だとか、自分を高めようとか。これも空論でしかない。ではどうすればやる気が出るのか。どうしてやくざは存在するのか。多分分からないだろう。

 かつて長嶋茂雄氏がどうしたら打てるのか聞かれた時、「良く玉を見るのだ。そこでここだと思う時にバットを振れ」と答えたというエピソードを聞いたことがある。本当にそんなことを言ったのかどうかは疑わしいが、本に書いてあることや経済理論などその程度でしかない。

 個人所得がどのようにしたら増えるのか。零細中小企業がどのようにしたら収益があがるのか。理論だけではなくその理論の実行過程も示さないと単なる空論で終わる。

 川の向こうに渡るには架け橋がいるのだ。空論とは川の向こうに行くには体をあちらに移動すれば良いのだというくらいのものだろう。

 規制緩和あるいは情報の拡散、新しい事業がないこと、物事が飽和状態にあることなどの理由で零細な企業がだんだん姿を消している。個人が経営する寿司屋、文房具店、米屋、たばこ屋、肉屋、魚屋、八百屋、化粧品店、屋台、居酒屋、駄菓子屋、本屋、などはもう少ない。

 こうした経済の末端の様子を知ることなく、中小企業対策ができるのだろうか。中小企業には経営資源が極めて乏しい。資金、人材、商品、競争力何もない。国には中小企業庁なる役所があるが、多分資金の調達支援だけをやっているのではないか。

 定年退職制度などまだ許している政府はどう考えているのだろうか。65歳で強制的に退職させられる人たちの頭は衰えていないし、体も健康だ。何故?

 信号系統がこんなに悪いにはどうして? 些細な交通違反にどうしてそんなに大きな反則金を課すの? 駐車する場所や料金の状態が分かって駐車違反制度があるの? どうして電線は地下に埋めないの? どうしてNHKは有線にしないの? どうして各年齢別のテレビ番組がないの? アメリカが日本防衛から離脱すると日本はどうなるの? 発明がないと今後経済はどうなるの?

 どうして野党はこんなことを解消する政策を立てないのだろうか。今のままでは先ず政権奪取は無理だろう。一所懸命働いている安倍晋三氏の問責決議案なんてどうして出して国会を無駄にするのだろうか。どうして無能な議員が多いんだろうか。

 会社を経営するには能力と同時に人柄も必要だ。国会議員にもそれを求めたい。

酒巻 修平

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