今日の言葉
イソップ寓話より引用
75)片目の鹿
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
片目の潰れた鹿が海辺にやって来て、草を食んでいた。悪くない目は陸に向け、猟師に襲われぬよう警戒し、潰れた目を海に向けたのは、そちらから危険が生じるとは夢にも思わなかったからだ。ところが、その沿岸を航海する者があり、鹿を認めるや、狙い過たず射当てた。鹿は息の下にて独りごとして言うには、「何ということだ、頼って来た海の方がはるかに手ごわいのに、陸ばかりを仇なすものと用心していたとは」このように、われわれの思いこみとは裏腹に、手ごわいと思われていたものが助けとなり、救いと見られたものは危なっかしいものだった、ということはよくある。
ドリームキラーも必要な存在
この寓話から得られる教訓は、「思い込みとは裏腹に、敵と思われたものが助けとなり、味方と見られたものが危険である可能性がある」ということです。
最近、”ドリームキラー”という言葉をよく聞きます。
ドリームキラーとは、自分の夢や目標を否定したり邪魔をする人のことを指すようです。
確かに、自分に力がないために他人の夢や目標を嫉妬や妬みで否定・攻撃する人もいます。
その一方で、心配から否定的なアドバイスをする人もいます。
それらはどちらも自分の外の出来事で、これらの意見を選択し受け入れるのは自分自身です。
実は、妬みや嫉妬で否定する人や、心配からアドバイスをする人、どちらも大切な存在です。
なぜなら、夢や目標を達成するためには否定的な意見も必要だからです。
否定的な意見から、試行錯誤がうまれ、自分の信念や精神力が育つからです。
反対に、”ドリームサポーター”という言葉もあります。
ドリームサポーターは、夢や目標の達成を応援してくれる人を指します。
夢や目標を持ったとき、自分の周囲からドリームキラーを排除し、ドリームサポーターだけにしたら、その夢や目標は達成できないかもしれません。
もし達成できたとしても、継続は難しいでしょう。
なぜなら、夢や目標に対する試行錯誤もなく、信念と精神力が育っていないからです。
夢や目標に向かって進むとき、安易に応援してくれる人が実は敵で、否定的な人が味方かもしれません。
イソップ寓話集 の「片目の鹿」を読んで、そんなことを感じました。