人事のグローバル化

 日産自動車ではアシュワニ・グプタというインド系の名前のCOOが選任された。日産は経営困難に陥った時、ルノーと経営統合をした関係で、ゴーン氏が全件を握る経営が始まった。

 

 これもあって日産は外国人の経営者が会社をリードするのには慣れているとは思う。ゴーンは情け容赦なく社員を馘首し、経営を立て直したが、それは日本人の感性ではなかなかできないことだった。

 社員数を減らすのは経費の節減になるが、これは大きい会社ではできても小規模の会社ではできないこと。すでに最小限の人員で会社を切り盛りしているからだ。

 ということは大会社には不必要な人員が数多く雇用されていることを意味するが、何故そんなことになったのであろうか。

 ゴーンは人員削減で経営を立て直したが、収入増に対する対策は自分が立てたとは評価できない。

 削減された人は生活に困っただろうし、それを乗り越えるのも生きていくには仕方のないことだが、かなり大変だったと思われる。

 その割に自分は会社の金を湯水のように使用して、自己の利益を図っている。今や刑事訴追を受けている人物だ。

 こんな人物が経営のトップにいた日産の人的関係はさぞかし殺獏としていただろうと察せられ社員が気の毒だ。

 かつて松下電器が苦境に陥った時、松下幸之助は社員を二部交代にして雇用を継続して何とか社員を助けた。

 そんな美徳はもうないのか。欧米の人たちと日本人とは道徳感も違い、従って苦しい時の乗り越え方も違う。

 聞くところによると欧米人の経営陣の給料は他の社員、経営陣と比較して極めて高額だと言う。ということはその分他の社員、経営陣には収入として回って来ないことを意味する。

 欧米人にも他人を慮る精神があるのは知っているが、それは違う形をとる。日本人は自分のことを考えると同時に他人のことも考えるのを美徳としているのに対して、欧米人はまず自分の権利を主張してそれが達せられれば、次に他人のことだ。

 日本社会は日本人の精神に基づいて成り立っている。もちろん欠点も多いが最近日本人が海外で高く評価されているのはその精神構造を好ましいと思われているからだ。

 今は海外からの旅行者も多く、少しは労働者も受け入れている。これが嵩じると日本式の働き方は全体として変化せざるを得ない。それが恐ろしい。

 明治の初年に日本を旅行したイギリス女性の旅行記には日本人の心根の優しさが綿々と書き綴ってある。日本人の精神は江戸期、あるいはもっと昔からそのように優しいものだったと思われる。

 商品はすでにグローバル化が進み、海外の製品も多く日本で使われている。優秀な製品もそうでないものもあるが、商品は物を言わない。だから精神を持たない。

 海外の商品がどんなに日本に入ってきても日本の精神、文化に変化はないだろう。しかし人のグローバル化は違う。人は意見を持ち、その意見に従って行動する。

 優しい精神の持ち主は優しい振舞いをし、それが回りの人の心を豊かにする。その逆も当然あり得るわけだ。

 日本人は一人では欧米人に仕事の上では負けると言われているが、グループで仕事をすると結果は日本人の方がより高度な成績を上げるらしい。

 この評価は置くとしても人のグローバル化により日本人が慣れていない、権利の主張ばかりが先走ると日本の文化、産業が西欧並みになるのに時間は掛からないだろう。

 徳川幕府が崩壊したのは幕府が徳川の権利だけを重んじた所為だと考える。そうであれば社員の本当の安寧を考えない会社はそのうち崩壊するのではないか。

 人の精神は大昔より変わっていない。優しい人にはこちらも優しく接する。そんな社会が日本だった。

 グローバル化は已むを得ない面もある。しかしトランプはその欠点を見越してそれに反対している。アメリカにはアメリカの精神があり、それはアメリカでは尊重されるべきだと思われる。

 日本人は何でも良いことは取り入れるが、自分自身が日本的な精神を放棄してはならない。人のグローバル化はできるだけ避けたいものだ。

 イギリスでもそれが分かってきたようで、ジョンソンはそういう意味ではことを深く、遠く見通せる人のように思える。

 我々は日本が好きだ。韓国との関係を観察していても、もし日本が中国なら韓国はまた属国になっているだろう。中国人も韓国人も他人の利益を考えない人々のように思えてならない。

 一国が独立してグローバル化はできるだけ避ける。これが長い目で見れば気持ち安らかに生活できる環境を作ると思われる。

酒巻 修平

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