目次
今日の言葉
イソップ寓話より引用
17)尻尾のない狐
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
狐が罠にかかって尻尾を切り取られた。恥ずかしくて、生きていくのも辛いほどなので、他の狐にも同じようにさせねばならぬと考えた。皆を同じ目に遭わせて、自分のぼろ隠しを図ったのだ。 こうして全員を集めると、こんなものは不細工なだけでなく、余計な重みをくっつけていることにもなると言って、尻尾を切るよう勧めた。すると、中の一匹がさえぎって言うには、 「おいおい、そこの奴、もしそれがお前にとって都合の良いことでないのなら、我々に勧めはしなかったろうよ」 善意からではなく自分の都合から隣人に忠告を与える人に、この話は当てはまる。
それは人の為、それとも自分の為?
アドバイスをする際、その人が相手のために考えているのか、自分のために言っているのかにより、その人の人格が見えてきます。
相手のために善意でアドバイスをする人は、状況と相手をよく観察し、その人がより良くなるようにと考えます。
一方、自分の立場を守るためのアドバイスをする人は、自分がより良く見えるように、または優位な立場に立つことだけを考えます。
同じアドバイスでも、相手のためのものか、自分のためのものかで、言葉は大きく変わります。
自分だけを優先して考えると、周囲からは人が去っていきます。
逆に、他人のことを思いやる人の周りには自然と人が集まってきます。
果たして尻尾のない狐はどちらのタイプだったのでしょうか。
イソップ寓話集 の「尻尾のない狐」を読んで、そんなことを感じました。
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