目次
今日の言葉
イソップ寓話より引用
2)鷲と黒丸烏と羊飼
鷲が高い岩場から舞い降りて、仔羊をひっさらった。 これを見ていた黒丸烏君、なにくそ自分も真似をしてやれ、とばかり、羽根音高く急降下して、襲いかかったのは一人前の牡羊。
ところが、房々とした毛に爪が食いこみ、引き抜くこともできぬまま羽根をばたつかせているうち、とうとう羊飼が気づいて、走り寄るなりつかまえてしまった。
羊飼は烏の風切り羽根を切っておき、夕方になると、子供への土産に持ち帰った。
そして、これは一体何の鳥、とかれて、羊飼の答えるには、「わしの見るところ、間違いなく黒丸烏、しかしこいつは、鷲のつもりだ」このように、抽んでたものと張りあうと、何の得るところもないばかりか、ひどい目にあった上、笑いものになるのが落ちだ。
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
承認欲求に対する2つの道
すべての人間には、他人によく見られたいという願望があります。
最近よく目にする「ドヤ顔」は、他人に認めてもらいたいという心情から生じています。
他人に認めてもらいたいと思うとき、大体において二つの方法があります。
一つは、自己の能力を向上させて、その結果として自然に周囲から認められる方法です。
この方法は時間と努力を必要としますが、得られる認識は本物であり、持続します。
もう一つは、単に自己アピールを行い、何とかして認めてもらおうとする方法です。
この方法は一見早道のように思えますが、持続性がなく、真の認識を得るのは難しいです。
黒丸烏は後者の方法を選び、結果的に羊飼いに笑われました。
人間社会でも、黒丸烏のような人が多いと感じます。
「イソップ寓話集」の「鷲と黒丸烏と羊飼い」を読んで、そのようなことを感じました。
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