英、EU離脱と中国

 英国がEUから離脱することには国民の多くが賛成し、また多くが反対している。反対する人が賛成する人より少なかったから、離脱することになったのだ。

 だとすると反対する人は今後自国の政治に不満を持つだろう。賛成した人はそれが良いのだから生活も精神も良くなると思っているはずだ。

 ここで問題なのは賛成する人も反対する人もそれが国に取って将来とも良い政策だったかあるいは逆にやはり困った事態が出来することにならないか、判断力がないことだ。

 もっと言えば政治家にも多分その判断力がないと思われる。政治家は指導者と言われるが預言者ではないし、政治家でこれから20年30年の先を見通せる人がいるのか疑わしい。

 私の意見では日本にはそんな政治家がいない。全ての政治家の考えや行動を知ることはできないので、あるいはそれほどの天才的政治家もいるかも知れない。だがそんな人は化かし合いが横行する政治の世界などには足は踏み入れないだろう。

 政治家の会談や事績を見てみると全て今の情勢だけを判断基準にしている。国や住民は変わっていく。どう変わっていくかは国民あるいは短期的には政治家の意思に基づくであろうが、それを予見するのは極めて難しい。

 日本は明治になって開国した。それから人の生活は豊かになっただろうか。確かに武士だった人は結局経済的に楽にはなっただろう。

 だがもし当時税制が今のようだったら、巨万の富を持った人の富を貧乏な人に与えられることができており、武士だった人も生活に困るほどではなかったと思われる。

 藩は商人から金を借りて財政を何とか持ちこたえていた。ということはその金を返済しなくても良い制度があれば良かったのだ。

 それが税だ。もし開国しなければ身分制度はそのままで、徳川幕府も存続しただろう。課税を国のため、人民にために上手くすれば少なくても経済的には全ての人が生きていかれたと思われる。

 開国したメリットもあった。身分制度は軽くなったし、飢饉による飢餓は亡くなった。交通や通信は便利になった。だが失ったものも多い。伝統芸術は少しずつ失われ、美という感覚も薄くなった。だが本当の開国は今次の大戦後だと思う。

 それ以降アメリカの拝金主義が入り込み、人の道徳観は極めて低くなった。江戸時代にあった人情はなくなり、人は金のために嘘も付く。我々が若いころから何十年も年月が過ぎたが今の社会のだらしなさは道徳の低下のなせる業だろう。

 世界の中で一番迷惑を掛けているのは中国だ。その中国は安い労働力を生かし各種商品を輸出している。日本もその安い商品を輸入して人の暮らしは比較的少ない金銭で生活できるようになった。

 だがそれで生活は快適になっただろうか。有害な食品を食べることを危惧し、すぐに壊れるものを使う。もし中国から輸入しなければ日本の物価は高いままだったろうが、賃金はその分上がり、生活レベルは同じだったのではないだろうか。

 輸出入はその国の産業から生産されるものを輸出し、足りないものを輸入するところに価値があるのではないか。

 単に物が安くなるという理由で輸入するのはどういうものだろうか。同一商品を生産する会社が国内に何社かあれば、価格はいずれ適当なところで落ち付く。過当な競争をしなければ各社長く存続するだろう。

 我々には中国は無用な国だったのではないか。アメリカに取っても無用だ。日本が自動車をアメリカに輸出し過ぎてアメリカで自動車製造工場に働く工員で職を失った人が多いだろう。

 トヨタは巨大になったが、それが国民を豊かにしただろうか。良い車を日本だけで売ることがトヨタにとって悪いことだろうか。

 トランプの言っていることはそのように翻訳できるように思えるのだ。イギリスがEUから離脱するのもそんな意味合いがある。

 とかく政治家は歴史を勉強しない。人の持って生まれた性格の平均値が変わらないとすれば将来はある程度見渡せる。

 グローバリズム下では零細な店や会社を大きい企業が蚕食していく。それに反対するのがトランプであり、ジョンソンだ。そのことを彼らが認識しているかどうかは分からないが。

 だがある程度のグローバリズムも有益であるには間違いがない。それをどの程度に留めるかは政治家の手腕に掛かっている。

 今後競争はますます激化していくだろう。そして国の境が希薄になり、国民同士が交じり合う。価格は安くなり、少ない費用で物が買える。だが給料は昔ほど上がらない。

 固有の芸術はなくなる方向に行くだろう。投資資金はますます増加し、それは投資以外に使わないから、生活を豊かにすることはないだろう。

 普通選挙により衆愚政治が横行し、能力が薄い政治家が深くものを考えないで、短期間と言えども社会の根幹を形作るだろう。

 そして社会の制度は複雑化し、その制度を上手く使う人だけが裕福になり、その他の人はぎりぎりの生活を余儀なくされる。

 グローバリズムを使いこなす政治家がいないので、お化けのような社会が現出する。男女は深く愛し合うということがなくなり、離婚はますます増加する。

 人口はヨーロッパアジアでは減少し、アフリカでは増加する。平均的な人の能力レベルは低下し、その傾向は続く。

 事実かどうか分からない地球温暖化の原因物質の二酸化炭素の排出を削減し、産業の効率化は抑制される。システム化が進むに連れて人はものを考えなくなり、社会はますますそのレベルを下げる。

 街に出るとチェーン店ばかりになり、美味しい店はなくなる。サービスも形だけのものになる。

 人の雇用が難しくなり電話を担当者に繫がなくなるし、食器は客が従業員に変わって片付ける。

 ものは大切にされなくなり、ごみが増えるだろう。医師は勉強する時間を少なくし、金儲けに走る。誤診が多くなって、それを患者は見抜けない。

 ジョンソン良くやった。EUで得をしたのはドイツとフランスくらいで、そのドイツも流入する難民の生活費を国民が出さなければならない。

 国には国の文化があり、人はその文化を尊重している。日本でスコッチウイスキーやワインを生産する必要を私は感じない。ジョニーウォーカーの黒さえ今は2000円で買える。

 素晴らしいフランスのワイン。アメリカ人の嘘の少なさ。そんな良い精神を輸出して欲しい。韓国人も中国人も良い人なのだ。それを政治が悪くする。

 政治家とは一体どんな職業だろうか。国と国を何かで戦わせるために存在するのか。人民と政治家を乖離するための職業だろうか。

酒巻 修平

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