今日の言葉
イソップ寓話より引用
383)二つの道
その昔、ゼウスの命令により、プロメテウスは人間に二つの道を示した。自由の道と奴隷の道だ。プロメテウスが作って見せた自由の道は、初めはごつごつとして抜け出るのもむつかしく、切り立つて水場とてなく、棘だらけで危険がいっぱいだが、最後にはうち開け、散歩道や森の木の実や湧き水にあふれ、辛酸の後の憩いに至るようになっている。一方、奴隷の道は、初めは広く平坦で、花咲き乱れ、目や口を楽しませるものにあふれているが、最後には抜け出すのもむつかしい険しい崖道になるのだ。
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
2つの自由
人間誰しもが、自由を求める瞬間があるものです。
しかし、自由を追い求めるだけでなく、「自由とは何か」を深く考えなければ、かえって不自由な状況に陥る可能性があります。
自由には2つの道があります。
1つは「制約のない自由」、もう1つは「精神的な自由」です。
「制約のない自由」とは、法律や規則、ルールから解放された状態を指します。この種の自由を求めるのは、多くの場合、自分を取り巻く環境の規則が厳しいと感じるときです。
例えば、厳格な校則のある学校で、もっと自由に過ごしたいと思うような場合です。
ただし、この「制約のない自由」を過度に求めると、自己中心的になり、周囲の人々との関係が崩れたり、最悪の場合、犯罪に手を染めたりして、結果的に不自由な生活を強いられることになりかねません。イソップ寓話に例えるなら、これは「奴隷の道」に当たります。
一方、「精神的な自由」とは、外的な制約がある状況下でも、心の中で自由を感じられている状態を指します。
どれほど厳しい制約や環境の中にあっても、心に自由を感じられていれば、周囲の状況に振り回されることなく、ストレスの少ない生活を送ることができます。
ただし、この精神的な自由を獲得するには、最初は茨の道を歩むことになるでしょう。
困難な道のりを一歩一歩進み、やがてその道を抜け出したとき、初めて精神的自由を感じることができるのです。
「自由になりたい」と思うとき、自分がどちらの自由を求めているのかを見極める必要があります。
あなたが求めているのは「制約のない自由」でしょうか、それとも「精神的な自由」でしょうか。
この2つの道を慎重に見極め、自らの選択として進んでいきましょう。
イソップ寓話集 の「二つの道」を読んで、そんなことを感じました。