今日の言葉
イソップ寓話より引用
203)猿と漁師
高い木の上に腰かけていた猿が、漁師が川で網を打つのを見つけ、その動作を見守っていた。漁師たちが網を曳き上げ、少し離れた所で昼食をとりはじめたので、猿は降りて行くと、自分も同じことをしてみようとした。この動物は真似が好きと言われているのだ。ところが網を手にしたとたん、絡まってしまい、独り言して言うには、「こんな目に遭うのも当然だ。漁師の仕事を習いもしていないのに、どうしてこんなことに手を出したのだろう」 ふさわしくないことに手を出すのは、無益であるばかりか有害でさえある、ということをこの話は説き明かしている。
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
すべての結果は、過程のうえに成り立っている
「猿と漁師」の寓話を現代風に解釈すると、以下のようになるでしょう。
とある男が、YouTubeで「投資家による、楽に儲かる方法」の動画を見ていました。
「これなら自分にもできそうだ」と思い投資したとたん、大損してしまいました。
男が独り言で言うには、「こんな目に遭うのも当然だ。投資の勉強もしていないのに、どうして動画を信じてしまったのだろう」
この話は、過程を考えずに安易なものに手を出すのは、無益であるばかりか損をすることが多いということを説いています。
一見、簡単に見える物事にも、簡単にできるようになるまでの努力が隠されていることが多いのです。
今日(2024年7月31日)、パリオリンピックが開催されています。
競技で結果を出せなかった選手に対して、誹謗中傷のコメントがあるとのことです。
隠れた努力を想像もせずに、結果だけを見て物事を評価する人が増えたと感じます。
ただし、結果だけ見て物事を評価する人は、猿のようにならないよう注意が必要です。
すべての結果は、過程のうえに成り立っているものだからです。
イソップ寓話集の「猿と漁師」を読んで、そのようなことを感じました。