今日の言葉
イソップ寓話より引用
150)ライオンと鼠の恩返し
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
ライオンが寝ていると、鼠が体の上を走った。ライオンが起き上がり、鼠を捕まえ、ひと呑みにしようとしたところ、鼠は命乞いして、助けられたなら恩返しをすると言ったので、笑って逃がしてやった。 そして、ライオンは程なく鼠のお蔭で命びろいすることになる。 猟師に捕えられ、ロープで木に縛りつけられた時のこと、鼠が申き声を聞きつけて現れ、ロープを齧り切り、ライオンを解き放って言うには、「あの時あなたは、わたしからお返しを貰うことなどあてにはできぬとばかり、わたしを笑って馬鹿にされたが、今こそ分かって下さいな。鼠にも、恩返しはできるのです」時勢が変われば、いかな有力者でも弱い者の助けが必要になる、ということをこの話は説き明かしている。
時勢により強者は弱者になる
時勢が変われば、いかなる有力者でも弱い者の助けが必要になる。
ライオンは強者ゆえの余裕から、笑ってネズミを助けた。
きっとライオンは、そのときネズミに助けてもらうなんて思いもしなかった。
しかし、猟師に捕まったり時勢が変わったことで、強者は一瞬にして弱者になり、ネズミに助けてもらうことになった。
これは、人間社会でもよくあることです。
人は自分が置かれている立場や環境、権力を持つほど、自分が強くなったと勘違いし、自分よりも下の者を威圧したりバカにしたりしてしまう。
しかし、自分の立場や環境や権力などは、時勢が変わればすぐに崩れてしまうもの。
立場が崩れたときに「助けてください」と言っても、手遅れになることもある。
そのことを理解しておけば、自分の立場が強かろうが弱かろうが、常に謙虚な姿勢で周りの人々と接することが大切だと思う。
きっと、猟師から解放されたライオンは周りへの接し方は大きく変わったと思う。
イソップ寓話集の「ライオンとネズミ」を読んで、そんなことを感じました。