今日の言葉
イソップ寓話より引用
87)金の卵を生む鵞鳥(がちょう)
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
ヘルメスを崇拝することひとかたならぬ男があったので、神は褒美として、金の卵を生む鵞鳥を授けた。ところが男は、ご利益が少しずつ現れるのが待ちきれず、鷲鳥の中身は丸ごと金だと思いこんで、一時の猶予もあらばこそ、殺してしまった。その結果、男は期待を裏切られたばかりか、卵までも失った。中身は肉ばかりだったのだ。 このように、強突張はしばしば今以上のものを欲しがって、今あるものも失ってしまうのだ。
人生の財産とは
「ガチョウと黄金の卵」で有名な寓話と似たような話です。
この寓話では、「強欲により今あるものを失う」ことが教えです。
個人的には、もう1つ要素があると思います。
本当は、神が与えた褒美は「金の卵を産むガチョウ」ではなく、「神から褒美を与えられた」という機会そのものであり、その機会に日々感謝することが、もう1つの要素だと思います。
私たちは、何かを求める時、お金や物事など物質的なことを求めてしまいます。
求めていた物質的なことを与えられた時、その時は満足するのですが、時が過ぎるうちに物足りなくなり、更なる物質的なことを求めてしまうものです。
男も、最初は金の卵を産むガチョウを授かったことに喜んだのに、ガチョウが少しずつしか利益を産まないことに我慢ができなくなり、ガチョウを殺してしまった。
神から「ガチョウを授かった」ことに満足していればよかったのに、ガチョウが産む金の卵に目が眩んだために、全てを失う結果になった。
目先の欲は一時は満足しますが、やがては更なるものを追い求めるのが人間です。
だからこそ、人生に起こる様々な「機会」を大切に感じて行き、その機会に感謝し満足感を得られるような生き方が大切だと思います。
人間が死んだ時にあの世に持っていけるのは、物ではなく精神だけ。
そう考えると様々な機会こそが人生の財産なのかもしれませんね。
イソップ寓話集 の「金の卵を生む鵞鳥(がちょう)」を読んで、そんなことを感じました。