目次
今日の言葉
イソップ寓話より引用
22)狐と木構
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
狐が狩人から逃れて来て、木を見つけたので、匿って下さいと頼んだ。木樵は杣小屋に入って隠れるよう勧めた。 間もなく狩人たちがやって来て、狐がこっちへ来るのを見なかったか、と尋ねるので、木樵は口では見ていないと答えながら、手ぶりで狐の隠れている所を教えた。 狩人たちはしかし、手ぶりには注意を払わず、言葉の方を真に受けた。 狐は彼らが立ち去ったのを見て出て来ると、挨拶もなしに行こうとした。命を救ってもらいながら、一言のお礼も言わないのか、と木樵に非難されて言うには、「なに、あんたの手の動きが言葉と同じだったなら、私だって感謝もしたでしょうがね」 口では立派なことを明言しながら、実際には卑しい行いをする連中に、この話は適用できる。
言葉はその人の心を表す
「失言をしたから発言を撤回する」と言う人がいます。
しかし、自分が発した言葉をどうして撤回できると思うのでしょうか。
人間は、自分の心や思考にないことを言葉として発言することはできません。
逆に発言ができたのは、その人の心や思考がそのような考えを持っているということです。
「発言を撤回する」という意味不明な言葉を使う人は、この当たり前のことを理解していないのかもしれません。
イソップ物語では、言葉と行動が一致しない木こりは卑しい人間として描かれています。
木こりが狐にも狩人にも「いい顔を見せたい」と思っていたのかもしれません。
しかし、そういう人間は最も信用されず、感謝もされません。
言葉はその人の心を表します。
失言を撤回するよりも、八方美人で軽い言葉を使うよりも、心をきれいに保つことが大切だと感じます。
イソップ寓話集 の「狐と木構」を読んで、そんなことを感じました。
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