事業家と経営者

 サラリーマンをやった人でも何の経験もない人でも自分自身の事業を起こす、起こしたくなる時がある。

 もともと計画していたか、あるいは突然そんな要求が沸き上がってくるのか、動機は色々であろうが、それは自分の考えを元にして組織を運営したいことに変わりはない。

 だがそれは相当ハードルの高いことで実行するかどうかについては振り分けが起こる。結局立ち上げるという結果と何となく止めてしまう人も多い。

 立ち上げても運営能力がなければ事業は成功しないだろうから、そんな人は事業の立ち上げなど考えもしない。

 ここまでは簡単に分かる。だが結果として立ち上げをする人に共通の素質というか性格が備わっていて、それが実行をするのに大きな要素になるのだ。

 言葉はおかしいかも知れないが、それは「馬鹿さ加減」だ。事業など成功するか失敗に終わるか事前に予想を付けるのは難しい。それが心の止むことを知らない欲求で自分が主体としてやっていきたいから事業を立ち上げるのだ。これがないと結局は事業を立ち上げるには至らない。

 事業を立ち上げる動機が金儲けの場合、立ち上げを実行する可能性が低い。何故なら立ち上げ当初は収入が0に近く、却って持ち出しになるからだ。

 中には会社に勤めながらアルバイト的にこっそりとアルバイト的に自分自身の仕事を会社の余った時間や余暇にしようと考える人は事業の立ち上げは実行しない。

 そんな人は二兎追う狩人と一緒で、一兎も得ることはない。会社ではうだつが上がらない社員と評判を落とすことになりかねないので、事業の立ち上げなで考えない方が良い。

 さて事業を立ち上げ成功したとする。ここからは振るい落としが始まる。成功する人は10人に一人で、後はいくらかあった資金を使い果たし、あるいは借金だけを残して脱落する。

 事業運営は厳しい世界で、このことを考えても相当な覚悟をして考えなくてはならない。だが成功した事業経営者にはそんなことも考えないで、猪突猛進的に事業立ち上げに向かって進んでいっただろう。

 事業運営が10年を超えるくらいになると一応の安定を見る。社員も増えているかも知れない。だがここからも静かな戦いが待っている。

 これは自分自身との戦いだ。資金に余裕ができたからと言って投資を会社の資金でやり、ゴルフに夢中になって事業を顧みず、主だった社員に丸投げする経営者が出て来る。

 その人たちの多くはこの時点で脱落するだろう。昔と違って今有能な社員は独立を考えている。そんな人に事業を任せれば根こそぎ持っていかれる可能性だってある。

 小企業では社長が全てだ。大企業あるいは中企業に成長するまでは社長自らが仕入れし、それを営業し、資金を作らなければならない。社員はあくまでもアシステントに過ぎない。

 そうして会社が少しずつ大きくなってくると事業の運営者の性格というか能力の種類から運営の仕方が変化してくる。

 その一つが経営者的な人で、もう一つが事業家タイプである。経営者は会社の運営の数値や各項目が適正であるかどうか検討し、そうなるように調整するタイプの人だ。

 事業家タイプの人は感で会社の状態が良いとか資金が潤沢にあるとか考え、前向きに新しい事業を始めるような積極的な人を指す。

 だから経営者タイプの人は分析、積算が得意で、事業家は感が鋭い人である。だから事業家は会社を拡大する方向に向く人で、経営者タイプは規模より内容を重視する。

 事業家タイプの人は感が狂うと会社が破滅に向かうので、部下に優秀な経営者タイプの人を持った方が良い。孫というソフトバンクの総帥は典型的な事業家タイプの人だ。

 それに対してサラリーマン経営者は手堅い。管理部出身者にはこのタイプが多い。どちらのタイプにも一長一短があるが、トップの経営者のタイプによって会社のあり方が違う。

酒巻 修平

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