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国家が滅びるとき

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今日の言葉

二宮翁夜話より引用

99)一家一国興廃の因果  
 あるひとが来訪した。翁は、たれそれの家は無事かときかれた。客はこたえた。彼の父親は、農業出精にかけては村内無比でしたから、作徳も多くて、豊かに営んできましたが、 その子は、べつだん悪いことはありませんが農業に精を出さないので、耕作培養が行き届きません。ただまいては刈りとるだけで、良い肥しを使うのは損だなどといって、田畑を肥やす利益を知らないのです。ですから父親が死んでまだ四五年なのに、上田も下田になり、上畑も下畑となって作徳はなくなり、今日では暮しにもさしつかえるようになりました。  翁はいわれた。そなたたち、聞いたか。これは農民一家のことではあるが、自然の大道理であって、天下国家の興廃存亡も同じこと、肥しをやって作物を作るのと、領民扶育のために財を散じて、民政に力を尽すのとの相違だけだ。およそ国が廃亡するのは民政が行き届かないことによる。民政が届かない村里は、堤防や用排水がまず破損する。次には道路や橋梁が破壊する。そうして野橋や作場道などは通路がなくなってしまう。堤防や堀割が破損すれば、川つきの田畑はまず荒地となる。用排水路が破壊すれば、高い田や低い田は耕作できなくなる。道路が悪ければ牛馬が通れないから、肥料が行き届かず、いくら精農の者でも力を尽すのに困り果てる。そのため耕作はしても作徳がないから、人家から遠い、不便なところは捨てて耕さなくなる。耕さないから食物が減ずる。食物が減ずるから人民が離散する。人民が離散して田畑が荒れれば租税の減ずるのは眼前ではないか。粗税が減ずれば諸侯が困窮するのは当然のことで、前の農家の興廃と少しも違うところはない。  それから、そなたたち、心しなければならないのは、たとえていえば上国の田畑は温泉のようなもの、下国の田畑は冷水のようなものだ。温暖で地味の肥えた上国の田地は、耕作が行き届かなくても作徳があって、ちょうど温泉が自然に温かいようなものだが、寒冷で地味のやせた下国の田畑は、冷水をわかして温湯にするようなものだから、人力を尽せば作徳があるけれども、人力を尽さなければ作徳がない。下国・辺境の人民が離散して田畑が荒れ果てるのは、このためなのだ。

【引用 二宮翁夜話(上) 福住正兄:原著 佐々井典比古:訳注】

国家が滅びるとき

現在の日本は将来に向けて不安感に満ちています。

コロナ禍や大災害などの自然災害、戦争など、多くの不安要素が存在します。しかし、本当に不安を感じる理由は、リーダーシップを発揮する政治家がいないからだと思います。

これからの日本のビジョンがなく、ただ補助金をばらまき、それに伴い別の方法で増税しています。

これは二宮金次郎が言う「ただ蒔いては刈り取るだけで、良い肥料を使うのは損だと言って、田畑を肥やす利益を知らない」と同様のことです。

これが続けば、国民の生活に支障が出始め、やがて国家は衰退していきます。

残念ながら、このままでは、日本は二宮金次郎が99段で指摘した通りの結果になると思います。

では、どうしたらこの状況を変えることができるのでしょうか?

個人的には、二宮金次郎のような思想を持った人が国のトップに立つべきだと思います。

しかし、現在の政治家が二宮金次郎の思想を理解しているとは思えません。

では、どうすればよいのでしょうか。

やはり、国民一人一人が考え方を改めることが重要だと思います。

目先の利益だけでなく、修養や徳など、日本本来の価値観を取り戻すことが大切だと思います。

二宮金次郎の夜話98段「有常無常は半円観」を読んで、そんなことを感じました。

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