今日の言葉
イソップ寓話より引用
129）黒丸鳥と鳩
【引用元 岩波文庫 イソップ寓話集 著 イソップ 翻訳 中務哲朗】
鳩小屋の鳩の餌の良いのを見た黒丸鳥は、同じ食事にあずからせてもらおうと、体を白く染めて入って行った。黙っている間は鳩だと思われ、認められていたが、うっかり声を出したとたん、その声を怪しまれ、追い出されてしまった。 鳩小屋の餌を失った黒丸鳥は、仲間の所へ戻って来たが、体の色のために分かってもらえない。共同生活から締め出された。こうして、両方を得ようと求めて、片方さえ得られなかった。 そこで我々も、飽くなき食欲は何の得にもならぬばかりか、しばしば今あるものをも失うということをとくと考えて、自分のものに満足しなければならない。
八方美人は自分を失う
八方美人とは、誰からもよく思われようとして、相手に合わせて自分の意見や態度を無節操に変え、人と対立しないようにと振る舞う人のことを言う。
寓話の黒丸烏は要領のいいタイプなのだけど、節操がないから居場所を失ってしまう。
人間社会にもこういう人はいると思う。
例えば、会議などで「A」に賛成としておきながらも、会議が終わると「Aは間違っているよね」というような人。
なぜ、会議で「A」を否定する意見を言わなかったのだろうか。
会議の場の空気を読んで「A」を選んだ方が無難というだけ意見を言わない。
会議が終わり、周りの人の雰囲気で「Aは間違っている」と言ってしまう。
こういう人は空気感を読むのは上手なのだけど、一貫性も自分の軸もなく、人から嫌われることはないけれど、人から好かれることもない。
そんな八方美人を続けていると、ますます自分の本心が分からなくなり、人からも信用されなくななる。
様々な場所で、人間関係をそつなくすることも大事だけど、八方美人で誰にでも合わせていると、自分を失う。
イソップ寓話集 の「黒丸鳥と鳩」を読んで、そんなことを感じました。
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