今日の言葉
菜根譚より引用
前段75) 永続の幸福、真実の知恵 苦しんだり楽しんだりして、苦楽を積み重ね、練り磨いた末に得た幸福でなければならな い。きたえぬいて得た幸福であってこそ、永続きするものである。これと同じく、疑ったり 信じたりして、よく比べ考えたあげくに得た知識でなければならない。よく考えぬいた知識 であってこそ真実のものである。 最初から幸福な環境にあれば、幸福というものはわからないし、最初から信じておれば、 知識というものはわからないから、苦を重ね得た幸福、疑問を重ね得た知識でなければ本物 とはいえない。
【引用元 講談社 菜根譚 著 久須本文雄】
真実の知恵
2023年からChatGPTをはじめとする、AI(人工知能)が手軽に利用できるようになった。
当初は誤った回答が多かったAIも、2024年にはかなり正確な回答ができるようになった。
そして、あらゆる業種でAIの活用が進み、これまでの膨大なデータをAIに入力し、最適な結果を求めるようになっている。
しかし、このような傾向が続くと、人間はAIに依存するようになるのではないだろうか。
現時点では、AIの回答の正否を人間が判断できている。
だが、10年後には、AIの回答の正否を判断できる人間がいなくなるのではないだろうか。
AIがなぜそのような回答をしたのかが分からないため、AIを信じるしかなく、依存度が高まっていく。
やがて、人間はどのAIが正しいかで争いを起こしてしまうのではないだろうか。
菜根譚では「疑ったり信じたりして、よく比べ考えたあげくに得た知識でなければならない。よく考えぬいた知識であってこそ真実のものである」と説いている。
様々な状況、条件、情報を熟考し、自ら導き出したものこそが真の知識になるのだと思う。
これは、過去も現在も未来も変わらない普遍的な真理であり、真の知識や幸福は、単に情報を得ることや楽な環境にいることではなく、疑問を持ち、苦労を重ね、自ら考え抜くことで得られるものだと思う。
このような基本的なことが、最近では忘れられがちだと感じる。
菜根譚前段「永続の幸福、真実の知恵」を読んで、そう感じました。
オススメの本
※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。