今日の言葉
菜根譚より引用
前段60) 花は花でも
その人に具わった徳望によって得た富貴や名誉は、たとえば、山野に咲いた花のように、根も深く枝葉も繁茂して、いつ迄も容易に枯れるものではない。また、事業によって得た富貴や名誉は、たとえば、鉢や花壇の花のように、根も浅いので移しかえられたり、時には枝葉が栄えたり衰えたりするものである。もしも、権力によって得た富貴や名誉であれば、たとえば、花瓶にさした花のように、根がないから一時的なもので、間もなく枯れてしまうのである。
【引用元 講談社 菜根譚 著 久須本文雄】
社会的ラベルと人間性
恋愛において、相手を社会的ラベル(職業・地位・収入・学歴・容姿など)で見るか、人間性で見るかによって、付き合う相手は大きく異なります。
マッチングアプリの条件検索は、ほとんどが社会的ラベルに基づいています。人間性は言語化が難しいためです。
社会的ラベルを重視して付き合う場合、そのラベルを取り除いたときに本当に付き合えるかを考慮すべきです。
例えば、年収1000万円を条件に付き合った場合、その人が仕事を辞めて収入がゼロになったとき、なお関係を続けられるかを考えてみることが大切です。
社会的ラベルは時勢により変化し、成長することもあれば、一瞬で失うこともあります。ラベルだけで付き合うと、条件が合わなくなった時に離婚などの結果を招く可能性があります。
一方、人間性を重視して付き合えば、その人自身と向き合えるため、時勢の影響を受けにくくなります。
もちろん、様々な困難は避けられませんが、相手を信頼して付き合えれば、共に乗り越えていけるはずです。
菜根譚でいう「花」は社会的ラベルを、「根」は人間性を表していると解釈できます。
菜根譚前段「花は花でも」を読んで、そう感じました。
オススメの本
※ブログで紹介した久須本文雄著の『菜根譚』は絶版のため、岩波文庫の菜根譚のリンクとなります。