17-2-23のニュース裏読み - トランプ大統領

 トランプ米大統領の話し方に日本では関心が集まっている。あまりにも粗野だという意見が多い。

 私は彼の言動を違う面から見てみたい。大統領の言葉は文化を表していると思う。アメリカは建国からまだ250年も経っていない。文化は一朝一夕にできるものではない。長い期間を掛け、他の模倣をしながら自分自身で作りあげる。

 そんな歴史の新しいアメリカにヨーロッパや日本並みの文化を期待してはならない。大統領の言動も例外ではないようだ。ディズニーランドやラスベガスの驚嘆とおちょくりの文化がやっと誕生してまだ日も浅い。

 フランスの石畳の優雅さ、イタリアのルネッサンス、イギリスの歴史ある大学文化、日本の京都のような古雅の趣を求めてはならない。もう少し長い目で見守る必要がある。アメリカはヨーロッパなどと違い生まれて間もない幼児で、悪戯もする。

 今回の大統領選では最終的に残った二人の候補が互いの欠点をあげつらい、私生活を暴くことも辞さなかった。あの光景は見るに堪えない無様なものであった。

 それは文化のなさからくる忍耐や宥恕の心を持たない人の行動パターンであった。そのどちらが大統領になっても、程度の差こそあれ、言動には文化はなかったであろう。核拡散防止条約などと称し、自分たちだけには核兵器を持つことを許し、他国には禁止するというような幼児丸出しの条約を力で以って締結させる。

 しかし若さゆえの良さもある。トランプ大統領はビジネスにおいて4回も破産をしたと聞いている。それでも立ち直り、大きなビジネスの再構築に成功し、今や大統領にまでなった。

 日本で破産するとどうなるだろう。長年その記録は金融機関に抹消されず、再び立ち上がるのは至難の業だ。トランプ氏は破産してビジネスをどのように再興したのか知らないが、金融機関や個人が経済的な支援の手を差し伸べたと想像する。

 日本には破産の記憶を残している機関があり、金融機関などが融資をするときはそのデータの閲覧を前提にする。だから一度この機関に破産や手形の不渡りの事実が登録され、ブラックリスト中に名前が残されると金融機関からの融資は受けられない。

 そのようなことはアメリカにはないのであろう。そうでなければ金融機関は再びトランプの企業に融資をすることはない。あるいはそんな事実を無視するような方策が取られているのか、選挙民もそのようなことを気にする風もない。いずれにしてもここには再生のダイナミズムがある。

 一つ気になることがある。破産は大きな事業上の失敗により発生する。トランプ氏の場合はそれが4回も発生している。破産は自己または会社という国に比べれば小さな組織の崩壊だが、トランプ氏が破産のような大きな失敗をアメリカという国を舞台に起こせばどうなるのかということだ。

 アメリカは世界一影響力の大きな国だ。その国がもしトランプ氏の失政により破産並みの大きな危機的状況に陥れば、世界も危機に陥る。私が選挙民であればこの点を熟慮する。

 話しは戻るが日本の手形不渡り制度は、日本のダイナミズムを大きく阻害する。一度くらいの失敗で、企業が立ち直ることができない経済社会は柔軟性を無くなさないのか。

 日本の金融機関はバブル期に優良な企業には必要以上の資金を融資した。バブルが崩壊したとき、融資を受けた多くの優良企業が倒産し、以来再度融資を受けることが不可能になった。

 バブル期にも融資を受けることをしなかったか、受けられなかった優良ではない企業だけが結果として生き残った。融資を受けられなかった中小企業は優秀ではなかったので、融資を受けて倒産した優良な中小企業ほどダイナミズムはなかった。そんなバブル崩壊の悪影響を20年以上も引きずることになるのは、そんなことに適切に対応することがなかったことが一因となっていないのだろうか。

 企業が融資を受けるとき、企業の代表は融資金返済の連帯保証を個人的に行うが、会社が倒産したら融資額を個人資産で返済することは不可能だ。だから優秀であっても代表者はもう経済社会で活躍することができない。こんな制度は今改められようとされているが、個々の政策は別として、経済社会全体にダイナミズムを持たないと、安倍首相が放つ第三の矢は的を射ることができないのではないかと心配する。

トランプ氏の政策の実行は始まったばかりである。彼の言葉は粗野ではあるが、もう少し様子を見ないと政策の良否は判断できない。

酒巻 修平

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