アメリカ人とのばか騒ぎ - フリーウエイと睡魔

アメリカには新商品開拓のために3,40回出張に行った。アメリカにバイヤーをおいてその人にハンドリングしてもらって仕入れると5%ほどコミッションを支払うシステムを作った。

 バイヤーは私を空港まで迎えに来てホテルまで送り届ける。ホテルに着くと暫く寝て時差ぼけを解消させる。それから食事に行く。まだまだ私も若かったから体力充分だった。

 時間が来るとその人はディナーに行くためにまた迎えにくる。泊るところはミッションインと言って映画カサブランカの舞台になったところで、確かに白く壁面が塗ってあった。カサブランカは確かスペイン語で、カサが家、ブランカが白いという意味だ。

 そのカサブランカの宿泊料は当時確か35ドルくらいで安かったし、天井が高くてゆったりしていた。当時から数えて100年ほど前、スペインのキリスト教ミッションのあったところだからミッションイン「mission inn」、innは宿とか言う意味だ。

 そこを拠点にあちこち探して新商品を探す。他社の人、特に大会社のバイヤーは大概展示会で商品を探すが、こんな方法を取っているから、商品を見つけてもきつい仕入条件を飲まされる。

 私はそんな展示会をぶらぶら歩いて、ブースを見て回っている人を捕まえる。アメリカなど人見知りをしないから、声を掛けると直ぐ打ち解ける。私は「Do you have anything you can sell us?」何か売るもの持っているかとか言って、もしその男がメーカーをやっていて新商品を持っているなら、日と決めてその会社を訪問する。

 その会社は展示会に出展するほどの規模ではないから、展示会には見学がてら市場調査に来ている。アメリカ人は日本人と違って他社が製造しているものとは違うものを作りたいから、何か新製品を持っている筈なのだ。

 どこの会社でも何か新製品がある。取引条件は「try my best」、最善を尽くすというだけだが、私は本当に最善を尽くした。今日は上手くいったと喜んでバイヤーの運転でレストランに直行する。アメリカの道路、フリーウエイは片側7車線もあるのがあって、日本のように渋滞がほとんどない。フリーとはただという意味だ。

 直線が長く、運転していると退屈になる。運転手も飽きるし、疲れるから何かと私に話しかける。私は運転してもらっている手前、適当に相槌を打つが私が運転しているのではないから、眠気が襲ってくる。

 助手席の人が眠ると運転手はただひたすら運転するだけだ。そんなことになると申し訳がないから、私は必死に目を開けている。その相克に勝つときはいいのだが、目はもう言うことを聞かなくなるときの方が多い。

 これから夕飯を食べにいくので、運転しているバイヤー男は「What do you want to eat for dinner?」何を夕飯に食べたいかと聞く。聞かれてもどうせアメリカには碌なものはない。ステーキかシーフードだ。メキシカンは美味しくないし、中華料理も滞在中一回で充分だ。

 眠いし、考えもないから頭は朦朧としている。「Two years」と答えたらしい。不思議で眠りそうなときは会話がちんぷんかんぷんになるのだ。「What do you want to eat for dinner?」、「Two years」では会話は成立していない。

 バイアー男は訳が分からないものだから「What?」と聞き返す。すると私は今度は「Camera」とかいう。「なにを夕飯に食べたい?」「2年」「何だって?」「カメラ」こんな会話をするがそのうち私も目が覚める。何故そんな単語が出てくるのか不思議だが、これは誰でも経験する事実だ。バイアー男はやっと私が半覚醒だと分かって大笑い。

 ディナーには酒が付き物だ。ウエートレスが何を飲むかと聞いてきて、アルコールが入る。だから帰りは飲酒運転だ。しかし警察による検問なんて制度はない。これは欧米どこでもそうだ。そうでないとレストランは全部倒産する。飲酒運転は交通違反だが、検問なんてことはないからジグザグ運転でもしていなければ、警官は止めない。止めると警官が違反になって、弁護士を雇われて警察が大金を払う羽目になる。交通妨害だ。

 アメリカはとにかく面白い。日本人社会に滞在してはいけない。「郷に入ったら郷に従え」という教訓は生きている。アメリカに行くと日本人を含めアメリカから見た外人がいないところで過ごす。これがアメリカ滞在を満喫する方法だ。

酒巻 修平

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