按摩、按腹(あんま、あんぷく)

 按摩とは主として筋肉の凝りを解すことだ。体には弾力性があり、筋肉はもちろんその例外ではない。だが筋肉は適度以上に使うと自己防衛のため難くなるこkともあるので、昔の人は定期的に筋肉を揉み解してもらっていた。

 これを按摩と言うが、今は廃れてしまったかもしれない。だが按摩という言葉だけは残っている。孫がお祖父さん、お祖母さんの肩を叩くのはこの按摩の手技の一つで、微笑ましい。

 だが基本的に按摩は叩くというやり方ではなく、押す、揉むという行為に依っている。凝るというのは血管が固くなった筋肉で収縮や拡大がある程度妨げられることで起こる。

 今は何でも機械、器具を使って作業するが昔は全て人力を駆使したものだ。だから筋肉は使い過ぎて硬くなり、按摩の必要性が多かった。

 按摩の需要が少なくなったのと入れ替わるようにカイロプラクティックというアメリカ発の手技が流行して、案外効果的に凝りを解してもらえる。

 ただ凝りが酷いときとか、捻挫、筋違い、ぎっくり腰、寝違いなどは按摩よりカイロプラクティックの方が効果的であるように思える。

 一方按腹というのはほとんどの人が知らないと思う。筋肉が凝るなら当然内臓も凝る訳でこの凝りも内臓の働きを阻害することが多い。

 例えば頻尿は膀胱の筋肉が固くなり膨張せず、尿を貯める量が少なくなって起こる。筋肉や内臓が固くなるのは老化が一つの原因で、この場合は避けて通れない。

 だから自分で膀胱を揉み解すのが良いのだが、筋肉でも内臓でもやり過ぎは却って弊害があるものだ。

 凝っている箇所を強さや方向性、それに解す行為をする時間を上手に調整しなければならない。やり過ぎると筋肉にある意味のダメージを与える。痛くなく、短時間で揉むのは良いが、痛みを伴い長時間やると筋肉がそれによってまた硬化してしまう。

 また人の体には慣れという作用があって、硬化した筋肉を外部の力で解す行為をしばしば行うと筋肉の元に戻る作用が怠けてしまう。だから気持ちが良いと思ってしょっちゅうやっていると筋肉がゴムのような状態になるので、注意が必要だ。

 食べ過ぎ、飲み過ぎあるいは質の良くない食品を摂取するなど胃や腸、腎臓、肝臓などに過度の負担を掛けるとそれらの臓器の筋肉が一時的に硬化することがある。

 こんな時は按腹の手技の出番だ。若いうちは内臓筋肉の復元力も強いが年とともに能力が薄れる。そんな時頼りになるのが、この按腹だ。

 だが内臓は外部からの力を自然に受け入れるという機能がない。従って按腹に対する手技は難しい。専門家にやってもらうのが無難だ。

 体は全体的にバランスを取るようにできている。そしてどこかに不具合があると修復してバランスを回復するのだが、不具合箇所が多かった場合や、程度が酷い時は薬を飲み、あるいは医師の診断を乞うのが良いだろう。

 頻尿の人は膀胱が老化などで硬くなり復元力がなくなっているから起こる。こんな人は自分でもできるので、按腹を膀胱に行うのが良い。

 頻尿の原因が老化であればそれは慢性的なものだから、体の力は頼れない。自分の手で温め、あるいは柔らかく全体を包み込むように軽く揉むと頻尿の度合いが少なくなるだろう。

 だがこれは毎日何回かやらなければならないから面倒でもある。昔は「按摩、按腹」と家々に声を掛けながら専門家が道を歩いて客を探したものだ。料金は高くなく、重宝なものだったが、その商売はもう消滅したと思われる。

 体の不具合や病気は現在西洋医学が主流だが、漢方やこんな民間療法も蔑ろにしてはいけない。例えば捻挫をすればカイロプラクティックに行くべきだ。優れた人は2,30分で直してくれるが、整形外科に掛かると一週間の松葉杖生活を強いられる。

 今の医学は薬に頼り過ぎる。これは医師の営業的な目的からくることも多く、医師に満幅の信を置けない。日常生活の正常化するなども病気の快復に多大の効果があるものだ。人の体は全体のバランスを取る機能を持っていることを忘れてはならない。

酒巻 修平

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