人の住まない家にはすぐぺんぺん草が生える

 人は一分間に20回弱呼吸する。肺活量は男で2500から3000、女性ではその80%くらいか。呼吸概略は外部の空気を吸い、その中の酸素を体内に取り入れて使用した後炭酸ガスとして放出する一連の動作だ。

 男女平均の肺活量と呼吸の回数からどのくらいの量の空気を体内に入れているにか、計算を簡単するため呼吸回数を1分間に20回、一回の呼吸で2000ccの空気を吸うとしよう。

 すると例えば室内の空気は20回x2000㏄=20000cc。すなわち20Lの空気が1分間に人の体内に入って行くだろう。これは1人だから3人家族では一分間に20Lx3=60Lの空気が呼吸で使用される。

 すると1時間では60分x60L=3600L、一日では3600Lx24=86400Lの空気が肺で浄化され、炭酸ガスを含んだ使用済みの空気として放出される。一か月では86400x30日、すなわち2592000L、約260万Lの空気が変化しているのだ。

30坪の家の内部面積は天井の高さを2.5mとすると2.5mx30坪x3.3=247M3,すなわち247x1000㏄=247000Lだ。

 ただ体内に吸収される水分が全て使用されることはない。それを50%と推定し、室内の家具の総面積(室内の半分の面積を占めるとすると)で相殺すると2600000÷247000≒10である。

 この計算を文章で表すと3人家族の家では家の中の空気は1か月で10回転していることになる。水分も体内で吸収されるので、室内の水分は1/10になるだろう。

 だが室内は密閉されているわけではないので、水分を含んだ空気は玄関、窓などの隙間や開閉によって流入する。

 だから人が住むと室内の空気の中の水分は適量に保たれるのだ。だが室内でも空気が流通しない締め切った洋服ダンスの中などではそのままの空気が滞留する。

 洋服ダンスの中に入れておいた衣服はカビが生えるのを経験した人も多いだろう。そんな家具は定期的に開放しておくことが必要だ。

 人が住まなくなった家では空気の大半は滞留する。空気の成分は劣化してくるだろうし、湿気もそのまま残る。そうすると室内の水分は柱や天井を通じて屋根に伝わる

。人が住まなくなった家の屋根にはすぐにぺんぺん草が生えるのはこのような理由による。

 逆から考えてみよう。空気の中には細菌やごみ、他の有害な物質が含まれている。それらはやがて人の体内に侵入する。人の体はこれらを浄化する機能を持っているが、その浄化機能が追い付かなくなると健康を害するであろう。

 建築から100年以上経った家屋に住む旧家の人々の間で奇妙な病気が発生するのは環境が悪いからだ。

 これを避けるため伊勢神宮では20年に一度建て替えをする。大きいダニは体に被害を余り与えないが、ダニは住む環境が悪くなると小さなものに変わる。これでハウスダストなどの疾病が生じるのだ。

 地球がこんなに長く生物が住める環境にあるのは生物自身の浄化作用が働いているからだ。植物は炭酸ガスを吸い、酸素を放出する。だからアマゾンの上空の空気は綺麗なのだ。

 地球に人類がもっと長く生きたいと思うなら、絶えず手入れをしなくてはならない。映画で人類が滅亡した後の地球を映したものがあるが、ビルは全てなくなり、ヒトの痕跡は消滅する。

 できるだけ上質の空気を呼吸すると人の各臓器は働き過ぎない。だから長生きする。臓器を使う頻度と程度が高くならないように、今は機械で人に優しい住環境を作っている。

 人が今いつまでも健康で長寿を保てているのはエアコン、冷蔵庫、風呂などの施設が発達したことも一因である。

 寿命の長さはこれとは違う人の機能によっている。120歳を超えてもなお生を保っている人はこの機能が不全であるからだ。

 脳の性能も低下してくると死という恐怖を感じにくくなる。老化はその意味で大切な人の機能である。そうでなければ死というものに誰もが向かう恐怖から逃れることはできないだろう。

酒巻 修平

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