世界経済のグローバル化とその行く末

歴史を学ぶ必要は人の持つ本姓を、-出来事を通じて- 研究し、現在の在り方の是非や将来社会がどのように変貌してゆくのかを考察することにある。

 そんな考え方に基づいてグローバル化を考えてみたい。本格的に日本で家電が普及し始めたのは第二次世界大戦後であった。

 家電は主婦の家庭内労働を劇的に軽減し、生活は便利になった。冷蔵庫がない時代には木のボックスに氷を入れておき、食物が腐らないようにしていた。しかし電気冷蔵庫の出現で食物は長持ちするようになり、氷を取り換える必要もなくなったので、炊事の仕事は大幅に少なくなった。

当時日本は玩具や衣料品を初め種々の製品を輸入に頼っていたが、持ち前の能力を生かして同一あるいは改良商品を生産、そして輸出を始めた。

 昭和40年ころであったと記憶するが、トヨタが初めてアメリカに自動車を輸出することになり、契約後試運転がアメリカのフリーウェイで行われた。

 なんとその試運転で長距離を走ることを想定していなかったトヨタ車がエンジンストップを起こしてしまったのだ。

 しかし次の年、捲土重来を期し、再度試運転したところ問題が発生せず、トヨタはアメリカへの輸出を開始した。

 輸入を始めたアメリカの目的はその価格にあった。お金第一主義のアメリカ人がトヨタ車の価格に魅力を感じたからだ。

 そうして玩具、衣料品、カメラ、家電など多くの品目が輸出の対象になり高度成長期が日本にやってきた。

 その後同様なことが韓国に起こり、韓国の経済も日本経済のように発展していった。そして中国、さらにベトナムに同様のことが起こったが、日本以外の国では製品の改良が等閑になって、単なる下請け国のような状況に陥った。

 さて家電の普及は都市部から地方に及び、今や全ての地方で家電があり、むしろ過剰に存在するまでになった。

 自動車も一緒で、昭和25年ころにアメリカでは4家族に1台なのに日本では500以上の家庭に1台の割合であった。しかし自動車は今や一家に1台以上あるという状態が現出した。

 こうして全ての商品が日本で生産され、世界各国に輸出されていった。飛行機も近い将来日本は本格的に製造し、輸出を始めるものとみられる。

 しかし衣料品を例に取れば、日本で衣料品を生産しても価格面で購入する人がなくなり、一般の衣料品は中国などから輸入されるようになった。

 グローバル化とはある国の生産物を全世界に輸出することと言い換えることができる。輸入した国では安いか品質の良い商品が人に手に渡り、一時はその人達に恩恵をもたらす。

 しかし日本における衣料品のように、生産者方以外の人はその恩恵にあずかるが、生産者は輸入品に対抗することができなくなり、衰退から消滅に至る。

 消滅したメーカーでは労働者を解雇し、解雇された労働者は別の職業に就く。この現象が日本では衣料品、工具その他多数の業種に発生した。

 結局、世界で一番強いメーカーだけが生き残ることができるだけで、その外のメーカーは消滅する運命にある。これが今日本では家電メーカーを苦しめる要因だ。東芝、パナソニック、ソニー、日本にある家電メーカーは今必死に生き残り作戦を考え実行しているが、もし成功しても長続きはしないだろう。そしてもし彼らが生き残りに成功すれば彼らの競合相手が消滅する。

 全世界的に見ると寡占が進み、富はますます偏在してゆく。日本には技術力があり国全体の経済は潤っているが、この競争に敗れた国では倒産が激増することになる。

 そしてやがて全世界の商品はメーカー数が2,3社になり、そのメーカーを擁する国の経済はそれらのメーカーの手に委ねられることになる。

 これが今韓国、イタリアなどで起こっている現象だ。そしてその現象は全ての国に波及して行くだろう。

 そんな極端な現象が起こらなくてもやはり傾向は変わらない。これがグローバル化の将来と見ることができないだろうか。

 各国は自国にもたらされる恩恵だけを考え、今のところグローバル化に賛成しているが、その欠点には目が行かない。

 自国の弱小メーカーの首を絞めるこんな政策を立案し、実行するのは政治家と官僚である。彼らは例外を除き自己の何らかの利益のために考え、働くが、能力が不足している。そんな国家体制が変わらない限り、社会は悪化し、テロリズム、無差別殺人、暴徒化、愉快犯罪は増え続けるだろう。

 自動車、家電その他にはまだ輸出することができる国が残されているが、やがてそれらの国でもそんな商品は飽和状態になる。そして世界はいずれ無成長の時代を迎える。そのときはいかなる政策が必要なのか、その準備はできているのだろうか。商品の寡占状態による富の偏在と無成長。恐ろしくはないか。

酒巻 修平

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