大きな会社で働くか小さな会社で働くか

どちらも面白いことがあり、不愉快なこともある。しかし会社の要求することを考えれば面白いと考えていたことも不愉快に感じたことも違う側面が見えてくる。

 大きな会社は組織や仕事のやり方の手順ができ上がっている。そうでなければ会社は大きくならないから当然だ。小さい会社では大きな会社にあるようなシステムがまだないか未熟だ。これは会社の規模に依る。

 大きな会社はだんだんと更に大きくなる。それは顧客が要求するからで、顧客の要求を満たすと自然に大きくなるのだ

大きな会社で働くシステムができているということは、社員はそのシステムを逸脱できないということだ。逸脱するとシステムが崩れ会社に被害が及ぶ。

 言い換えると社員は相当に地位に上がっても自己裁量の範囲が極めて狭いということだ。従って自分を抑えそのシステムが如何に悪くてもそれに従わなければならない。それを会社は要求する。

 社員は退職するまで自己を捨て、ものを考えず、固定したシステムを遵守する。もし自分の提案が会社のシステムの変革を意味するならば、元のシステムを壊して新しいシステムを再構築しなければならない。

 これは自分だけではなく、上司、部下全ての人を巻き込む作業になる。大概の場合、こんなことは起こりえない。だから大きな会社では世界的な経済機構の変革があった場合パニックに陥ることもある。

 勿論全ての大会社がこうではないが、基本的な考え方はどこも似たり寄ったりである。だから大きい会社で不満なく務める人は進取の気性を持っていない人だが、大概の人は多かれ少なかれ、創造的なマインドを持っているので、会社に対しては不満が一杯の筈だ。

これを裏返すと労働環境が安定しているといえる。定年退職をするまで、小さい会社より高い給料を得、ボーナスも出る。だから自己主張を抑え、不満を漏らさずシステムの最大限の効率化を図るのが、課せられた義務だ。

酒場で大きい会社の社員同士が話しているのを聞くと、馬鹿話は一切ない。大概は上司、同僚、部下の悪口である。真剣に仕事の話をしている人はまずいない。しかし彼らは会社の要求に従うのが習い性になっているのか、誰もが紳士で信用される。

しかし世界は今や激動している。固定的なシステムの下で仕事をしていた社員はその激動の状況を打破する方策を持ち得ない。だからこうなれば大きな会社であっても倒産や身売りということもあり得る。

小さな会社はその反対だ。一人またはごく少数のトップの人が会社を動かしているので、経営のシステムは固定化していないので、いつも変わり(これを朝令暮改という)社員は戸惑う。

しかし創造的な社員に取ってはそんな不安定な経営環境の中、トップの人に取り入り、システムを変えることが簡単だ。だから彼らには働き甲斐がある。

反面小さい会社は監視システムが充実していないので、失敗をし易い。失敗するとすぐに倒産の可能性に直面する。その中でも方針が安定的でぶれない会社もあるが、大概給料が少なく、社員は貧乏だ。

小さな会社を大きくするのは顧客ではない。顧客はそんな会社の商品を買ってやっているけれど、そんな会社が消滅しても大した被害はない。

世界経済が大きく変動してもこんな会社にはそのダイナミズムで乗り切ることができる。だからそこで働いている人たちは割と仲が良い。会社が利益を上げればボーナスも弾んでもらえる。

どちらを選んでも長所と短所がある。働く人は自分の性格に照らし合わせて決めるが良い。安定を取るか働き甲斐を取るか、どちらにしても人生はしんどいものだ。

では独立して自分の会社を持つのはどうだろうか。ここにはもっと過酷な環境があり、設立された20社に1社だけが生き残れるのみだ。これに付いてはまたいずれ述べる機会があると思う。

酒巻 修平

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