グローバル化とは何だ -その2ー 最終回

だからアメリカは日本が飛行機を製造することを阻止するため、政治力やその他持てる力を総動員している。しかしそんなことは長く続かない。やがて日本は飛行機の製造、輸出でアメリカのメーカーを圧迫するだろう。

 自動車はどうか。まだまだ隠れた需要があり、暫くは問題が小さいとも言える。しかし日本や韓国の自動車がアメリカのメーカーからその商売の一部を奪い取った。そしてそれが嵩じるとアメリカから自動車メーカーがなくなる。現にGMなどは政府に助けてもらって生きながらえている。

 政策に問題があるにせよ、アメリカのトランプ大統領はこの状態を危惧して、グローバル化を阻止しようとしている。しかしそれは止められないだろう。自動車などアメリカの競争力が低い分野の製品の輸入だけを阻止して、競争力が高い商品だけを輸出することなど受け入れる国はない。

 アメリカの政治家はこのグローバル化の欠点を早くから承知し、対日貿易赤字が非常に大きかった当時その不均衡を是正しようと日本に圧力を掛け続けた。車を例に取れば、その言い分は非関税障害でアメリカの車が日本社会に受け入れられないからアメリカからの輸出は伸びないというものだ。

このアメリカの言い分は通らなかった。大きな政治力を駆使して種々要求をしたが、実情を検討するとアメリカ車は日本車に比較して品質が劣っていて、この非関税障害と称する現象などないのにアメリカ車はあまり輸入されない。当時アメリカの言い分を聞いて、アメリカという国は自分の要求を何とか通したい我儘な国なのかと憤慨したが、それも解析するとグローバル化の持つ欠点でアメリカの自動車産業が打撃を受けていたのだ。

グローバル化を推し進めたのはアメリカである。そのアメリカは天に唾を吐いてそれが自分に戻って来たのを承知しだし、グローバル化のスローダウンをトランプは提唱している。しかしこのままいくとアメリカの自動車産業は壊滅状態に陥ることが予見できる。そしてその次は飛行機で、さらに武器、コンピューター、ソフトと続く。アメリカは100年後農業国になっているだろう。

国際間のグローバル化は目立つが、国内でもグローバル化は至る所で牙を向いている。小泉内閣のころに国内のグローバル化が推し進められ、タクシーの台数は激増して、運転手は自分の収入だけでは生活できなくなった。おばあちゃんのたばこ屋はなくなり、大きな企業が進出して居酒屋、寿司屋、肉屋、魚屋、八百屋、文房具店は姿を消しつつある。

それが嵩じると商店街がなくなり、調剤薬局も大手が独占するようになるだろう。小さな商売がなくなると、退職制度により収入がなくなったサラリーマンは年金を貰う人の数が増える。反対に年金額は減少する。

グローバル化は反面経済規模を大きくさせた。表面的には先進国の人の収入は増えた。しかし収入が増えた人と対極に収入が減少した人は多い。そして富の寡占化が進む。

一旦走り出したグローバル化を止める有効で痛みがない方法は見当たらない。止めようとすると経済は停滞し、それはそれで種々の大問題を発生させる。長期的に全世界がそんな過熱した経済状態をもっと政治的でない安定した経済状態にもどす協力を真剣に模索しなければ、いずれ一部の人以外は全て貧困者になるだろう。

そんな状態が見えるのに、何故グローバル化が望まれるのか。それは政治の問題に帰結する。グローバル化で利益を得ることができる会社が政府に圧力を掛け、政治家がそれに協力する。

しかしこんな状態が起こるのを予見している人は少なかった。30年、40年前、年金を貰っていた人は年金だけで生活できた。しかしグローバル化で年金額は減少し続け、すぐに年金は生活費の一部にしかならない時代が来る。

勿論年金額が減少したのはグローバル化だけが原因ではない。医療、福祉などの国の出費が多くなったのも原因ではある。どうしてそんな事態が発生するのか。それは自由選挙法に起因する。

一般国民は経済や政治のことは分からない。政治家は当選するために国民が受け入れやすい政策の実現を公約する。グローバル化で利益を得る会社が組織を使って政治家を選ぶ。無知な国民は場当たり的に政策に乗り、また感情だけで政治家を選ぶ。だから選挙に当選するためにだけ存在する政策が多くなる。

大学付属病院など大病院に患者が集中し、小さな診療所では患者が減少している。アメリカでは医師がアルバイトで掃除夫をやっている人がいるくらい収入が減少している。これも自然なグローバル化と見ることができる。政府はグローバル化を推し進めるのではなく、それをコントロールしなければならない。

 これらは全て普通選挙法が原因である。テレビを見ているとおばさんがその議員候補がハンサムだから入れるなんてことを言っている。ハンサムさと政治能力は一緒ではないし、なんやらチルドレンの大半は議員数獲得のためのダミーだ。

小池氏は能力があるかも知れないが、そのチルドレンのほとんどはダミーだ。そんな意味でチルドレンを作る政治家には愛国心がない。選挙するのは権利であるが、反面義務でもある。少しは勉強をして、まともな態度で選挙に臨まなければ天に吐いた唾が自分に戻ってくる。

酒巻 修平

—–

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です