経営講座 -社長の役目ー

 社長の役目というものはあまり考えられることがありませんが、その役目の考察は世相や経済環境の指針になるようです。江戸時代、社長(旦那様)に求められることは勤勉さと思考の正しさでした。

 しかし今や求められることも多様化しました。そうであっても勤勉さは変わりません。何も体を動かす勤勉さではなく、絶えず会社の経営のことを考え、ゴルフや酒を飲むことを第一義としてはならないということでしょう。

 勿論頭をクリアに保ちため、ゴルフをすることや酒を飲むことが間違っているということではありません。会社ができたてのときはそんなことより如何に売るか考え、実行しなくてはならないので、取り敢えず楽しみは後回しになります。

 現在社長が考えなければならない第一番目のことは会社の在り方を如何に現在の世相、要求あるいは将来と合わせるかということでしょう。これができた会社は大きく発展しますし、そうでない会社は衰退します。

 大きな能力がないと思われていた人でも、例えばコンピューターのことに習熟していれば大きな利益を上げた会社もありました。現在はどのようなことが求められるか多様な要求がありますが、老人対策、病気、健康、エネルギーなどでしょうか。

 私の手元に「重力発電」のやり方に関する特許の申請書の写しがあります。もしこれが実現して商業ベースに乗るなら画期的な発明ですが、さてどうでしょうか。発電も大きなテーマであることは間違いがありません。クリーンな方法で発電できれば世界中の誰もがその方法を採用するでしょう。

 ですから会社の営業目的が社会の要求を大きく満たすことであれば、上手くやればその会社は発展するでしょう。でもすでにある商売に参入するとよっぽど能力がある人でないと会社は大きくは発展しません。

 ただ会社勤めが嫌だから会社を設立して自分の生活費を稼ぐという目的であれば、ここに書く経営講座は役に立ちません。個人の能力があればそれは可能でしょうが、ここでも苦労が付き物です。

 会社が設立されれば売上を上げなければなりません。当たり前のことですが、ではどのようにしたら売上をあげることができるのか、ここに焦点が当たります。

売上は営業行為が成功したときに上がります。

 しかし売上が成功するのは商品の在庫があるか、仕入れができるか、あるいは製造がスムーズに進むか、そんな営業活動以外の仕事が必ず付きまといます。事務もそうでしょう。そのように営業行為を支える仕事が舞台を作り、営業活動は作られた舞台の上でやる舞なのです。

 時々営業の人は事務方の仕事は従だから給料も低くて当たり前だと主張しますが、これは間違っています。確かに会社の黎明期ではそんな理論も成り立つでしょうが、これから見てゆく通り、舞台の作り方が拙いと会社に大きなトラブルをもたらします。

 例えば富士フィルム(正しい名前でしょうか)の転身模様はこのことを示しています。従来のフィルムはもう不必要になり、売れなくなりましたが、極めて巧妙に転身を図りました。見上げたものですが、この会社には社会の変遷を絶えず見ている部署があったと思います。営業は売るのが仕事ですが、舞台を作るのはその他の部署でしょう。

 かつては東洋レーヨンという会社は繊維製品の製造、販売が主たる業務でしたが、繊維産業が日本で衰退すると、いち早く炭素繊維の製造に会社を方向転換させ、大きな成功を収めました。もし今でも繊維製品の製造が主たる業務であればこの会社は今頃なかったでしょう。

 社会の状況、要請に会社の体制を合わせることに失敗している会社も沢山あります。パナソニック、ソニー、東芝、これらは家電の製造販売部門を転身させることができず苦境に陥っていると見ます。

 会社が小さいうちはそれでも生き残れるかも知れませんが、少し規模が大きくなると旧態依然とした業務内容では会社を保てません。社長の役割はここにあり、絶えず社会を観察して、会社とそれに合わせる決断が必要になります。

 社長は仕事をしなければなりません。週に2,3回もゴルフに行くような社長がいる会社はもう発展しないと考える方が良いと思います。

酒巻 修平

—–

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です