経営講座 -営業ー

営業職に長年携わってきた人は営業には特殊な感性、性格、交渉術を要すると言います。しかし本当にそうでしょうか。真面目に一所懸命商品のことを覚えて、それを顧客に説明して、最大限の努力をしても駄目なのでしょうか。

 答えはそうではないということです。これは多分に自己顕示欲を満足させるものです。私はサラリーマン時代ずっと事務方でしたが、上の人や同僚たち合計4人で独立しました。同僚の一人は営業、上の人も営業でした。

 会社を経営し出してから3年が経過した段階で会社はまだ黒字になりませんでした。上の人は特定の顧客だけを営業のターゲットとし、同僚の営業マンは案外無能でした。

 上の人は私を見限って自分でも独立し、それに呼応して私は他の営業マンに辞めてもらいました。この人が最大の努力をしなかったbのが理由です。ですから会社には所謂営業マンがいなくなりました。

 私は仕方なく自分自身で営業をすることに決め、一か月に28日ほど営業に専念しました。会社は累積赤字を1年で解消しました。努力すると営業ではない人も自分に見合った会社が顧客になってくれるのです。

 私は10年ほど営業をしましたが、その間に気づいたり考えたりしたことが色々あり、後進の営業マンに伝授しました。他社の営業マンに聞いてもそんな考察はしていないようで、その後我が社の営業指針になりました。

 人には体内時計というのがあります。それは2時間単位で体を動かすもので、昔から一刻と呼ばれているものです。私はこの法則を営業に取り入れようと考えました。

 営業を仕掛ける相手の仕入れ担当も人ですから、2時間単位で体や頭脳が動いています。しかしそれ以降は集中力が減衰して考える力が落ちるのです。ですからこちらはそのつもりで3時間は集中力を切らさない心構えで臨みました。

 例えばやったこともないゴルフのことを勉強して相手に話し掛けるとあっという間に時間が過ぎます。2時間を過ぎたころからがこちらの営業タイムです。商品を買って欲しいと言うと集中力が切れた相手は状況を深く考えないで注文を出してくれることがままありました。

 千葉のある会社へ研磨機を売り込みに行ったときのことです。もう3時間も経つというのに、仕入れ担当は依怙地になってどうしても注文を出してくれません。社長は買ってやれと言ってくれるのですが、そう言えば言うほど仕入れ担当は要らないものは要らないと意地を張ります。

 それでも頑張っていると我が社はそんなものは要らないけれど、知っている会社なら買ってくれるかも知れないと会社名と所在地を教えてくれました。これが新業種に参入するきっかけになりました。

 営業の現場で売り込む最初のことは扱い商品ではなくて、会社のことや自分自身のことです。最初から商品を売るのではなく、会社の概要や考え方、得意なこと、また自分の長所、短所、などを話すのです。商品の売り込みは最後にします。

 その会社が知らない情報や我が社の場合のようにアメリカの事情、一般情報そんなことを最初に話し自分自身を売り込みます。こちらに取っての売り込み行為は相手に取って仕入れ行為です。それは単なる日常の仕事で何ら新しい情報をもたらしはしないし、面白くもありません。仕事であっても人は楽しみを見つけたいのです。

日本人は残念ながら中身の大切さに目を向けることが少ないと思います。タレントが使っていた、有名ブランドである、価格が高い、雑誌で宣伝していた。これらは商品の優秀性の指標にはなりません。確かに蓋然的な品質保証になるでしょうが、品質そのものの良さを示しません。中身より包装が大切な場合が多いのです。

 営業マンはあまり話してはなりません。相手の話を如何に聞くかが勝負の分かれ道になるようです。大体人は話したい動物です。話ができない人は仕入れ担当にはなっていませんので、話が好きです。ですから話を聞いてあげなければならないのです。もし2時間相手に話させることができればその会社はまず顧客になってくれます。

 営業マンは沢山の顧客候補を回って新規の顧客を獲得しようとしますが、私のやりかたは違いました。他の営業マンが50軒回るところを10軒にして成功確率を上げるように努力しました。結果最初の訪問で顧客になってくれる成功率は85~90%でした。こんな成功率を上げるにはどうすれば良いのか真剣に考えます。それが大切なのです。

もっと色々書きたいことがありますが、次に機会にします。質問があればコメントからお願いします。できるだけ回答致します。

酒巻 修平

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