経営講座 -社長の役目ー その2

会社が黎明期にある時、社長の仕事は会社運営に関する全てであると前回言いましたが、少し会社が動き出すとそんなことをやっていると効率が悪くなります。誰にでもできることは部下に任して、自身でしかできないあるいは自身でやるべきことだけに専念することもまた社長の仕事です。

 信用できる人を雇って印鑑を預け、金銭の出し入れはその人に任せなければなりません。ゆめゆめ妻にその任を依頼するのは社員を信用していないと見られますし、会社繁栄のためにも好ましいことではありません。

 しかし資金繰りは社長の仕事で、これだけは会社が相当大きくなっても自身でやらなければならないと思います。私が顧問をしている会社でも社長は経理である姉さんに任せているようですが、資金繰りはご自分でやっておられます。この会社の年商は30億円です。

 部下やアウトソーシングからのアドバイスには必ず耳を傾け、良いアイデアと思うならすぐに実行する決断力を持たなければなりません。ほとんどの会社では耳は貸すがただそれだけで、一向に実行しない。そのうち意見は入ってこなくなるし、それこそ社員やアウトソーシングへの支払いは無駄になってしまいます。これは社員の信頼の喪失と、支払い経費の二重の損害です。

 良いアウトソーシングを見つけることも社長の仕事の一部です。そのアウトソーシングが良いかどうかの判断をするには社長にある程度の判断能力が要ります。そのために社長は絶えず勉強をして、知識を蓄え、評価力の向上に努めるようにすべきです。

 そうです。社長は絶えず勉強をする必要があります。世界経済、会社の経営手法、各指数、人の欲求、商品の価値の寿命、簿記、税務対策、銀行の要求、貨幣経済の行く末、新商品の開発、その他社員ができないことは全て社長の責任範囲です。一番大きなことは会社をいつまでも存続させることです。

 利益が出ないと言ってボーナスを出さない、資金繰りが窮屈で給料が遅配になる。もう社長を辞めるべきです。私が以前勤めていた会社の社長は実際社長を辞めて他社に勤めて、東京支店長をしていましたが、社長の時より立派に見えました。人にはそれぞれ得手不得手があり、社長だけが生きる道ではありません。

 社員の給料の額を決めるのには私はとても頭を悩ましました。ある人は自分の給料が少ないと不平を鳴らすし、実際辞めて独立するか、他社に転職するケースがあります。しかし社長が誠実に給料のことを考えていれば、そんな社員はまず上手くいきません。適正な社員の給料を決めることは社長の最大の課題です。

 会社のアイデンティティはどうでしょうか。例えば3Mのアイデンティティは表面処理だし、IBMはビジネス機械です。IBMはその後ビジネス関係設備に広くアイデンティティを変えました。

 3Mのアイデンティティの表面処理は表面を処理する商品の開発で、一つの商品が日本あるいは世界一でなければその商品は商品として成り立たないと判断します。それで表面処理に業務を特化して、それ以外はやらない。だから社員も目移りしなくて努力する方向が見えます。

 標語も必要でしょう。上記IBMの標語は「考えろ」でした。会社の壁にあちこちに「think」と書いた紙が貼ってあって、社員は嫌が応でも「考える」ということを強いられます。

 新設された会社の9/10は崩壊します。まず10年もてば後は何とかなるというのが社長仲間の言い草ですが、それから実はもっと大きな生き残り競争が待っています。

 10年、頑張って会社の規模も拡大し、利益も上がっているし、内部留保も積まれてきた。ここで社長は油断をするのです。株式投資、男性社長なら女性との不倫、ゴルフ三昧、身の丈に合わない住宅の購入、社員への過度の権限移管、あらゆる誘惑が待っています。

 それに惑わされない意思を持つかそんなことをしてない性格の持ち主が社長なら後の1/2の競争に勝つでしょうが、社会を見回すとそんな誘惑に勝てる人はやはり1/2しかいません。遊んではならないのではなく、節度を持つということを認識しながら余暇を過ごす態度が望まれます。

 健康はその前に必要なことです。私が会社を興して4年くらい経ったとき私は持病の喘息の発作で一週間ほど欠勤しました。メイン銀行は私の欠勤の理由をしつこく尋ねましたが私は食中毒で押し通しました。もし喘息の発作だと言ったら融資を止られていたと思っています。

酒巻 修平

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