経営講座 -銀行取引ー

 銀行との取引も仕入れの一種です。取引をすると債権と債務が発生します。会社に取っての債権は借りた金を使用できることで、債務は借りた金に金利を付けて返済することです。銀行から見るとその逆で、お金を会社に使わせ、期日が来たら返済してもらいます。

 だから金利を払う方の会社が銀行から見るとお客さんで、会社から見ると銀行は仕入れ先です。銀行から見てその会社がいいお客さんだと判断すると沢山お金を借りて欲しいと思います。この観点で取引を観察すると銀行取引の要点が理解しやすいと思います。

 ただ一般の会社と違い、銀行は大企業です。メガバンクは巨大企業だし、小規模の銀行でも東京では東証一部の上場されているところが多いのです。ですから会社は大企業から仕入れをしていると考えなければなりません。

 前に会社に取って一番利益を上げさせてくれる取引相手は会社と同規模の相手先だと言いましたが、銀行はこれに当てはまりません。銀行には小さいところがないのです。銀行は大企業でないと営業できないからです。

 銀行に勤める行員は優秀な人が多いと言われています。現にメガバンクでは行員を雇用する前に10回も面接や試験をすると聞いたことがあります。今もそうかどうかは分かりませんが、大変な難関を通過して銀行に就職していることは間違いありません。

 私にも経験がありますが、どんな巧妙な入社試験をしても優秀な人材を確保できるとは限らないのです。言い過ぎかも知れませんが、優秀な大学と称する学校を卒業した人の良い所は何の意味もないことを言われたまま継続的に全力で行う能力を持っていることです。

 銀行の仕事は多方面でマニュアル化されています。ですから銀行は優秀な大学の卒業生を採用するとそれなりに目的が果たせます。しかし営業と言って外回りの行員はそうではありません。

 今は中小企業との取引が奨励されていて、そんな企業にお金を貸すことも多いでしょう。そんなときに大学で勉強したことや会社で用意されたマニュアルが個性の塊のような経営者との取引で役に立つとは思えません。

 結果として銀行は貸した金を返してもらい、できるだけ高い金利を貰えばいいのですが、どの企業に貸金をすればいいのか、言葉を変えて言えば取引先をどのように選別するか、ここが問題です。

 今では自動的に会社の決算書を解析、評価するプログラムがありますが、そんなのは数字だけのことで、本当の意味で会社の評価はできません。おまけにそのプログラムの出来が悪いものだからいくらでも評価の網を潜ることができます。

 ある時親しくなった銀行の営業担当者が「会社がいくら決算書を改竄しても分析すればすぐ改竄が分かってしまう」と言うのを聞きました。でもそんなに簡単ではありません。下手な改竄をする会社は改竄をしたい一部だけに手を加えますが、全体的に数字を変更してしまうとそれを見破るのは至難の業です。例えば多数の会社の売り上げを水増しして、在庫を落とせばどうなるでしょうか。これは自動評価プログラムには出て来ません。

 それと決算書からは短期間の業績を評価することができますが、これが中長期的な評価になるとそんな簡単なプログラムではとても無理です。そんな評価ばかりを頼りにしていると営業担当者の会社評価能力が失われてしまいます。

 中小企業には社長を見て金を貸せと銀行では教えます。これは一面正しいのですが、それだけでは片手落ちでしょう。数字と社長の考え方、能力をじっくりと見て取引を検討する。それが営業に課されて役目です。それには営業マンの高い能力が要求されます。

 これでは一般の企業と同じです。結局優秀な営業マンが優秀な営業成績を上げるのです。

 銀行側から見ると上記のようになりますが、それを会社側から見ればどのように銀行は考え、行うか分かりますので、それに沿って取引をすればいいのです。たまたま優秀な担当者が自社の担当になればその時こそチャンスです。必要のない金を借りて、借り入れ枠を増やしておくと後々の役に立ちます。

 もしあなたが自分のお金を貸すとすれば誰に貸しますか。返してくれるのが確実な人に貸すでしょう。銀行は雨が降ったら傘を貸さないと言う言葉を聞きますが、あなたはずぶぬれになった人に傘を貸しますか。傘は帰ってきませんよ。これは比喩ですが、傘を金に言い換えれば銀行の考えていることが理解できます。

酒巻 修平

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