経営講座 -銀行取引ー その2

銀行は雨が降ると傘を貸さないというのは当を得ていないと前項では言いましたが、傘を貸さない雨降りと傘を貸してもらえる雨降りがあります。万年赤字経営の会社には銀行は融資をしてくれる筈がありません。しかし何かの一時的なアクシデントには助けるための融資をしてくれます。返済してもらえる目途がたつからです。

 万年赤字の会社はいずれどんなことをしても立ち行かなくなるのが目に見えているからです。業種を変えて出直すか、元に戻って経営方針を組み立て直すか、あるいは自分は会社経営には向いていないと勤め人になるのか考えなければならないところです。

 銀行は決算書を見て融資の是非を判断します。私は銀行員をしたことがありませんでしたが、彼らの見る点は大体分かります。在庫を水増しすると利益が増加しますが、以前の利益率からするとその年の利益率が多すぎ、おかしいと計算できます。ですから銀行は融資に先立って3年分くらいの決算書を要求します。我が社ではそれに沿うべく前以て3年間の決算書を用意してありました。担当者が要求すると即時に手渡すのです。そんな会社の姿勢を見るとその担当者はすでに半分は融資をする気になっています。

 売掛金が売り上げに対して多すぎるのは営業が弱体なのか、不良債権がかなり混じっているのかを検証するでしょう。売掛金を多くもつのはそれに応じた資金を要します。だから銀行からお金を借りることになるのですが、それがその会社の常態であれば仕方がないのですが、回収できない不良債権があるとそれは損失と考えます。その損失見合いの金額を利益や剰余金から差し引いたのが、会社の実態だと判断します。

 因みに銀行は会社の資産を評価するときに

現金       100%

銀行預金     100%

売掛金       70%

不動産      概ね路線価 (これは地価より相当低い)

在庫         0%

上場株式      70%

無形財産       0%

会社を清算するときに上記のような計算で残る資産がどのくらいあるか見ます。それがプラスの会社は当面倒産しないと判定します。上記は相当きつい評価ですが、これは銀行が処分できる率を元に算定したものです。上場の株式は値下がりすることもありますし、不動産は路線価くらいでは処分できます。会社が倒産しそうだと分かると 買掛金の支払いしない会社も出てきます。

 しかし会社の業績が良く、銀行が貸付を是非ともしたい会社に対する評価はがらりと変わります。我が社もバブルのころ時価2億円くらいの不動産を14億円に評価されたことがありました。その理由は将来の値上がりを計算してのことでした。

 そう言えば将来の値上がりを予測してお金を貸して回収ができなかった事態がアメリカで起きたのを記憶している人も多いと思います。これをサブ プライム ローンと言って、その後のリーマンショックに繋がっていて世界経済が危機に瀕したことがありました。銀行は穏当な貸付をすべきだと反省したようですが、その後も同じような貸付をしたことがあったのは記憶に新しい。

 銀行の優秀な外回りの営業マンは自分の意見、即ちある会社に融資をしたいという意見を課長は聞きます。そして支店長もその男ならと稟議書をろくすっぽ吟味しないで本部の審査に回します。審査はあの支店長ならとほとんど無審査で融資の承認をします。

 だから会社が融資を受けたいと思えば先ず担当者に融資をさせる気にならなければなりません。優秀な担当者は前向きで何とか融資を実行しようとするので、たまたま優秀な担当者が配属されれば融資を増額してもらうチャンスです。

 一度ある額の融資を受けるとその額までは比較的安易に融資を受けることができるようです。だからその時必要がなくても将来的に資金需要が見込まれる場合は優秀な担当者がいるうちに融資額を増加させておくのも一つの手でしょう。

 逆に無能な担当者が上げた案件は隅々まで検討を加えられます。完璧な業務内容の会社などある訳がないので、隅々まで詳細にチェックされるとぼろが出ること請け合いです。だから無能な担当者が配属されればじっと我慢して時期到来を待つのがいいでしょう。だいたい2年で担当者は交代します。

酒巻 修平

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