経営講座 -アウトソーシングー

アウトソーシングと言って会社の一部業務を外部に委託することがあります。一人で運営している会社にはこの制度はなくてはならないものですが、依頼する先を選択するのには考えなければならないことが幾つかあります。

 外国貿易、税務申告、法律的な抗争、裁判、あるいは留守番サービス、社会保険諸手続き、コンピューター修理、などは外部委託するケースが多いようです。勿論自社でも行えるし、それが一番いいのですが、費用対効果を考えれば全てを自社で行うのが必ずしも得策とは言えないでしょう。

 専門の社員を採用すると少なくても10万円~20万円の固定経費が掛かりますし、外国貿易の場合の通関などは自社でやるのは先ず無理でしょう。

 委託するからと言って業務の丸投げは良くありません。税務申告などはその最たるもので、自社(大概社長)でも会社の状態は如何にあるべきかを検討して、税理士さんなどと協議しながら申告をします。

 本来税は会社の利益に対して賦課されるものなので、申告書を見ると会社の業務内容が如実に分かります。言い換えれば会社の一年間の活動の結果の集積と考えていいでしょう。

 社員一人当たりの売上、利益率、顧客の質、数、資金繰り状況、資産の種類、負債の額、余剰金の割合、借入金、それらは全て会社の状態を表す大切な指標です。それを税理士さんに丸投げすると会社の姿が見えなくなります。

 弁護士さんに依頼するのも同じことです。どんなことをすると契約違反になるか、相手はどれほど誠実に約束を守っているか、万が一の場合は裁判になるとしてもきっちりと証拠書類あるいは状況証拠が揃っているか。会社の経営の前に人としてあるべき姿が問われます。また取引相手が契約違反ばかりするようなら、機会を見つけてできるだけ早期に取引を中止した方がいいでしょう。だらだら取引を続けると損失も多くなります。

 アウトソーシングで依頼を受ける相手もできるだけ売上を上げなければなりません。ですからこちらも勉強し、研究して相手にできるだけ負担を掛けないように心がけなければならないのは言うまでもありません。簡単な受け答えだけで、用が足りるなら依頼を受ける方も助かり、その分結果的には余計に仕事をしてもらえます。

法律は会社経営の考え方の元になりますから、日ごろから勉強しておかないと後で困るような取り決めをしたりするものです。民法、商法、特許法くらいは折に付けて勉強します。全てのことを弁護士さんに依頼することはできません。

 ところで弁護着手金だけを取られて裁判は勝てないという現象はそこら中で見ます。また不当に高額な料金を吹っ掛ける不埒な弁護士もいて、そんなときは他の弁護士さんにも当たった方がいいでしょう。

総括して言えば何の知識もなく、業務を依頼するのとある程度理解して最終的な作業を依頼するのでは、業務の遂行に大きな効率の差が出るものです。勉強している社長は口頭だけで要点を質問して、知りたいことを簡単に知ってしまうものです。これが正しいアウトソーシングの在り方です。

 誰を依頼相手に選ぶかをテストする方法があります。それはあるテストをしてその相手が即答できるかどうかをチェックすることです。例えば主な資産の償却期間は何年でしょうかと尋ねて表を見ながら答える人は駄目でしょう。勿論中には記憶していないこともあるでしょうが、主たる資産の償却年限くらい覚えておいて欲しいものです。

 素人、アマチュアでも考えれば分かるし、計算することができることはありますが、プロとアマの差は即答できるかどうかです。弁護士さんなどではある事件の時効は何年か尋ねたときに即答できなければ弁護士さんを変えた方が良いと思われます。貸金、詐欺、売掛金、そんなものの時効を即答できない弁護士さんは少ないと思いますが。

 気を付けなければならないのは、中身が何もないのに入会金などと称し、100万円ほどを要求する資金繰り屋みたいな人が存在することです。資金繰りに窮した会社はつい頼り勝ちですが、資金を調達できたという話は聞いたことがありません。大概まやかしです。会社経営には手品はありません。

 どんなアウトソーシングでも10人に一人は良いようです。裏を返せば10人のうち9人は依頼してはならない人です。また誰が依頼人か分からないようなことを言う人もいます。これは税理士に多い現象ですが、彼らはまるで税務署の手先のようなことを会社に要求します。こんな税理士は案外多く、私はいつもそんな税理士とは縁を切ったらどうかとアドバイスします。

酒巻 修平

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