経営講座 -人事ー その4

 人事を考える上で最大の難問は給与とボーナスです。小さな会社はルールで縛られた給与体系がないので、弾力的な運用ができますが、とても頭を使います。給料は固定ですから、会社が利益を上げることができなくても、一定額を支給しなければなりません。

 社員が家庭を持っていると種々お金が掛かりますし、子供がいれば猶更です。そんな家庭の事情を全て考慮して給料の額を決定しても却って公平さを乱します。事情を考えながら、それだけに左右されない額を設定するのは言葉ほど簡単ではありません。

 事務系は簡単ですが、営業マンには成績を考慮して給料を決定しなければならないのです。当たり前ですが、これがそう簡単ではないのです。月に1000万売上がある営業マンと500万しか売れない営業マンでは1000万の売り上げをする営業マンの方が成績は良いと考えがちです。

 しかしそうではないのです。その営業マンの1000万円の売上は全てその人が開拓した顧客であればその通りですが、元からありあるいは上司が開拓した顧客を担当すると売上はその分増加するからです。

 ではその分は差し引いて成績を評価すれば良いのかというとそれも違うのです。その人は会社から与えられた顧客に対する売上を維持したり、もっと数字を伸ばしたりしなければなりません。手間を掛けないでいると売上は下がり、対応が良いと売上が上がる場合があります。

 またどんな努力をしても一定額しか売上が行かない顧客もいて、評価はそう単純にできないのです。そんなとき指標などを持ち出しそこに表れた数字を評価の対象にしている会社も多いと思いますが、これもまた違います。

 会社が与えた客に対する売上を自分が獲得した顧客への売上と対比するときに70%とか50%とかの指数を使うと思いますが、何故70%なのか、50%の理由は何かと聞かれると答えに窮します。

 それを会社の方針だと切って捨てることもできますが、そうすると営業マンのやる気をなくす元にもなります。どうするか、決定者の感に頼るしかありません。しかし決定者を誰にするかも考慮しなければならない点です。

 決定者はその人の家庭の経済を決定していると考えなければならないのですが、経営者ほどものを考えていません。ただ数字を見て給料の額を決めます。だから会社には手当の制度があるのです。

 これは案外公平で、不満を言う人も少ないやり方でしょう。通勤手当、子供手当、など何種類か手当がありますが、親が病気の人にはどうすればいいのでしょうか。病気手当ですか。それとも無し?

 結局小さい会社では社長が誠意を持って給料を種々の観点から決定する。それに勝る方法は考え付きませんでした。その人の家庭状況、親元に住んでいるかどうか、子供が通っている大学は国立か私立か、親が資産家か、病気はないか、誠実か、成績は良いか、周りと仲が良いか、顧客の評判は?

 そんなことの総合的観点から給料を決めます。だいたいサラリーマンは人が下した判断に素直に従う義務がありそんな能力を問われます。それが嫌なら独立して自分で会社を経営すべきなのです。

 会社の経営者が誠意を持って給料を決定すればそれを受け入れなければなりません。経営者がいい加減な態度では不満も出るでしょうが、これが最良という確定的な給料決定方法がない限り、止むを得ないことです。

 それでも不平を言う人は不平分子です。さっさと辞めてもらうしかありません。ボーナスの決定に関してこんな体験をしたことがありました。その人は営業成績抜群でしたが、性格に問題がありました。だからストレートにボーナスの額が決定されません。

 その額にいつも不満を言うのです。年収は1000万円を優に超えているし、独立する気もない人でしたから、会社を辞める気もありません。でも不満がでないように誠意を持って決定していましたが、いつも不平ばっかりです。曰く、差がなさ過ぎる。

 業を煮やした私は「では今度のボーナスはあなたが決めてくれ」。そういうと社員のボーナス蘭に決定額を書き込ませました。すると驚いたことには私が決定した額より差が少ないのです。それからはその人は不満を言わないようになりました。

以下次項

酒巻 修平

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