経営講座 -税務処理 - その2
税務署は会社や団体が不誠実だと思っています。だから自分たちもそれに対抗しなければならないと対策を立てます。少し多い目、早い目に税金を課し、徴収しようと懸命の努力をします。
警察も同様で、罪を犯す人がいなければ警察は要りません。しかし人は罪を犯します。罪を犯す人は少数ですが、それでも人の全体を見渡せば罪はいつも社会を苦しめる犯罪者が存在していて、国民は警察に救援を頼むのです。
我々は悪人と対抗するために税金を支払って国に警察機構を設置するよう要請します。口には出しませんが、全ての人が考えていることです。税務署もそうです。会社や団体が税金を支払うときに不誠実あるいは間違いを犯すから税務署がいるのです。
我々はそんな不誠実、注意不足、犯罪を防ぐために犠牲を払っているのです。でもそんな人たちも心の中では優秀に生まれて来た方が、そんなことをするより良いと考えています。考えないかも知れませんが、心が欲しています。
だから税務署は嘘を付き、誤解を与える言動を行います。それは税金を支払う方で看破しなければなりませんが、そんな能力を会社は持っていません。そこで専門家である税理士に報酬を支払って、税務処理をしてもらい、税務調査の立ち合いを頼みます。
しかしほとんどの税理士はそんな会社の要求を満たすほど優秀ではありません。勿論その要求に耐えられる税理士もいますが、少数派です。税理士は無能だと想定してことに当たらなければならないのです。
だから騙されて税金を支払わないように団体の責任者は勉強をしなくてはなりません。
まず、利益に対しては税金を支払う義務が発生します。当たり前です。これがなければ国家はなりたちません。国家がある方がないよりよっぽどましなので、これは国民の願いです。その願いの元に国家があり、その運営を政府に任しているのです。
かくして会社は税金を支払う義務を負います。義務の反対は権利です。義務を負えば権利がついてくるのは理の当然です。だから会社は税務署に対して権利を持っています。
正当な税の計算をしてもらう。あるいは社会的に必要なことにしか税を課させない。種々の権利があります。例えば税務調査を行いたいと要求する税務署との調査日程を打ち合わせる権利があります。税務署が突然会社にやって来て、即時に税務調査をしたいと言ってきても、それを拒む権利があります。
一度こんな経験をしました。そのときはマンションの一室で会社を運営していましたが、インタフォンで税務調査に来たと言うのです。税務署は調査日程を会社と打合せしなければならないのを分かっているから、これは嘘です。会社はいつでも税務調査の受けなければならないと誤解を与える言動をしているのです。
当時若かった私はこれを痛烈に非難しました。その男の名前を控え、所属部署を聞いて、その部署の責任者にクレームをしたのです。責任者にはこう言いました。税務調査は拒まないがその男は嘘を言う。だからその男調査は受けない。担当を変えないと大蔵省に苦情を言う。
税務署は大蔵省の管轄にあります。そんな国民の苦情はきっちりと処理しなければならないのです。処理しないと世論が許しません。官僚の泣き所は政治家と世論です。世論の声が大きければ無視できなくなります。
この辺を分かっていれば税務署の嘘を阻止するのは難しくはありません。その税務官は我が社の調査の担当から外されました。外されたということはその人の失態です。その人は上司に命令されてそんなことをしたのかも知れませんが、良い結果を出せなかったので、減点1です。大きな組織では過程は無視されます。結果が出なければその人の評価は下がります。
そんなことがあって税務署は我が社に「グレイマーク」を付けました。付けるのは勝手です。このグレイマークはブラックマークとは違い、その会社は正当なことを強く要求してきて扱い難い。注意するようにというくらいの意味です。
因みに私は警察にもグレイマークを付けられています。元警察官の弟がそう言ったから間違いはないでしょう。
以下次項
酒巻 修平