経営講座 -税務処理 - その3

 前項で書いたように税務署や他の政府機関は嘘を付きます。正確には嘘ではなく、聞いている人が誤解をするような発言をするのです。文書になればそれが証拠に残りますが、発言はそんな証拠がありません。これは嘘です。

 会社側も嘘を付きます。脱税は嘘です。明治が始まる前にアーネスト サトウと言うイギリスの外交官が日本に来て日本人のことを書いていますが、そこには民間人も政府の関係者も嘘を付くとはっきりと記されています。

 どうも日本人は昔から嘘つきだと思われます。ニクソン元アメリカ大統領が罷免された理由も嘘でした。彼は収賄もしたし、ドルの兌換を廃止した悪名高い大統領ですが、罷免された理由が嘘であるというのがアメリカの一般社会の考え方の一端を示しているでしょう。

 税務に話を戻しますと、会社は1年に一回以上税務申告をしなければなりません。これは税金を支払う根拠になる金額、即ち利益の額とその利益をもたらした計算の元になる数字を書いたものです。我が社はこのようにして利益を上げ、だからこのように税金を支払いますという宣言書です。

 税務署はそれに異議を唱えることができます。その宣言即ち税務申告の訂正を依頼したり、申告が故意に間違っていたり、大きな過誤があった場合裁判を起こしたりする権利や権限が付与されています。

 しかし間違い虚偽の申告であると証明する義務は税務署にあるのです。 それは当たり前です。出した書類は正しいということを前提にしています。ですから税務申告が正しくないということを立証する責任は税務署側にあります。証明義務(これを立証責任と言います)がどちら側にあるかというのは重要なことです。簡単に証明できればいいのですが、いつもそうはいきません。

例えばPL法というのがあります。それは例えば機械を使用して怪我をした場合に証明責任の所在が売った側にあるということを規定したものです。

 例えばある機械を使用したときに使用者が傷を負ったとします。PL法が成立する前にも機械のメーカーには損害賠償の責任があったのですが、損害を負った側が損害賠償を請求するには機械に問題があったということを証明しなければならなかったのです。

 ですからメーカーはPL法の有無に関わらず使用者に損害賠償の責任がありました。PL法はその損害の発生の証明をメーカーにあるとするものです。もし損害が使用者側の責任で発生したのなら、メーカー側がそれを証明しない限りメーカーは損害を賠償しなければならないようになりました。

 アメリカ女性が濡れた猫を電子レンジで乾かそうとして猫が死んだ事件がありました。日本人なら誰に聞いてもその電子レンジを使った人が悪いと言います。

 ところがその女性はそんなことは聞いていない。カタログにも書いていない。だから私が猫を電子レンジで乾かそうとした行為に間違いはなかった。メーカーは責任を取れと訴訟したのです。

 もしカタログや取扱説明書などにこの電子レンジは食品を温めたり、過熱したりするもので、他の用途に使用してはならないと書いてあったら、使用者側に責任があったと証明され、メーカーは損害賠償の責任を免れます。

 これは挙証責任がどちら側にあるかということです。税務申告においても申告の数字が間違っていると税務署が言うならその証拠は税務署が提出しなければなりません。その場合に税務署は嘘を付きます。ここが問題です。

 例えばある会社の社長が豪華な会社の社宅に住んでいるとします。いくら社長であっても会社と社長個人は別個の存在です。社長は会社に家賃を支払わなければなりません。

 その家賃の算定額はある程度の基準があるのですが、税務署はいつも税金を多く取りたいので、そこで会社が誤解するようなことを言います。「家賃は相場で支払うのが常識です」。そんなようなことを税務署が言います。

 税務署は現に支払われている家賃は相場には基づいていないと言っているだけですが、会社は誤解をします。現行家賃は相場より安いので認められないと言われているように聞いてしますのです。本来その家賃は修正しなくてもいいのですが、会社はつい修正申告をします。税務署はまんまと会社の利益を増加させ、より多い税金をせしめます。

以下次項

酒巻 修平

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