頑張るとはどういうことか

       頑張るとはどういうことか

 体力であれ、知力であれ、人にはそれぞれ持って生まれた大きさや種類、質があります。長距離走が得意な選手と短距離走を専門とする選手がいるのは、走る筋肉の能力の違いからきています。

 頑張るというのは限界まで持っている能力を使うということなのでしょう。オリンピックに出場する選手が毎日40kmも走る努力をすると頑張っていると言えます。

 有名大学の入学試験に合格するために、朝から晩まで勉強をする受験生は頑張っています。スポーツジムで痩せるため頑張って懸命にトレーニングに励む人は大勢いるようです。

 人の生体は頑張ることによって、必要な能力が付いてきます。即ち、短距離を走る筋肉、記憶するための海馬、耐えるための精神力。そんなものが自動的に養われます。

 そのときに人の体はどのようになっていくでしょうか。筋肉は太く弾力的になり、海馬の働きは良くなり、耐えるためどこか分からないが脳の一部が鍛えられます。

 それは人の体が自動的にプログラムされて、そのプログラムが実行することによる体の変化だと説明できます。

 しかしここにも副作用があります。短距離走に使う筋肉が発達するために隣の長距離走のための筋肉が圧迫され、幾分退化するでしょうし、海馬の能力が増せば、思考を司る脳の部分が勢力を減じます。

 頑張るということはその作用、副作用がプラスの方向に大きく働くことを意味すると同時に、脳を一所懸命働かせることです。

 ヨガ運動を頑張ると筋肉は必要以上に柔軟性を増します。残業を毎日何時間もやると体も精神も疲労が重なります。

 ヨガの行者の寿命は平均より短いし、残業に明け暮れるサラリーマンは定年退職後何もしたくなくなることが多いようです。これが副作用です。

 頑張ってはいけないと主張しているのではありません。頑張ると必ず反作用があると事実を述べているのです。

 人は頑張らなくてはなりませんが、それが長期間続くと体に無理が掛かり、寿命を短くするし、精神にダメージを齎すでしょう。自分の能力の限界を知り、心身の使用を効率良くした方が良いのです。

 私は若いころから頑張り方を考え、極端にならないよう留意してきました。持っている能力の限界を知って、少し抑え気味に頑張りました。その所為かどうかは不明ですが、後期高齢者の今になってもまだやる気が衰えていません。

 しかし頑張っているという人を観察していると、それは発言だけでその人の能力の限界まで長期間努力をしているというのではなさそうです。それで良いと思います。

 頑張る人はその成果や結果を目的にしているのです。そうであれば頑張る代わりに自分が持っている基本的な能力を増やすのはどうでしょうか。

 日本のマラソン選手は練習のし過ぎだと言われます。極限まで頑張るのでいざというときに筋肉が疲労していて、良い結果が出ないことが多いようです。本当に良い結果を出そうとするなら、適宜な方法を取り入れるべきだと考えます。

 子供をマラソン選手にしたければ3歳くらいから長距離を走らせるとか、受験勉強で何かを記憶するときは考えながら記憶する。毎日10時間働く人は直ぐには役に立たないが、その内1時間は基本的な仕事能力を養うために使う。

 目的を達成するためには頑張ることも必要ですが、自分の基礎能力を養うことが長期間一定の成果を上げる方法であると確信します。

 スポーツ科学はそのようなことを知りつつあるようです。運動のフォームを考え、頑張る時には頑張る。しかし充分な休養も取る。人の心身の使い方はもっと良い方法があるのです。

酒巻 修平

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