庭からの訪問者

 朝10時ころになると野良猫が

窓のところにやってきて、にゃあにゃあ

なく。

 一匹はまだ子供のようで、他のやつ

より少し小さい。

 そいつは子供だからか、人に慣れて

いて、近づいても逃げないどころか、

伸ばした手にじゃれつく。

 そんな仕草に情が湧いてときには家

の中に入れてやる。

 入るやいなや、机の脚や壁に体を擦り

付け、自分の縄張りだと主張する。毎日

やるのはまだ勢力が小さいことを危惧して

毎回縄張りの主張を印象付けるためか。

 部屋に入ってくるとそこら中でにゃあにゃあ

と煩いくらいだ。

 煮干しをやると食べるが、他のものは

食べない。その割に痩せていないのは

他の家で餌をもらっていると想像している。

 こいつは虎の模様だが、もっと大きい

やつは白地に少し黒が混じった柄をしている。

 そいつは大きくて太っている。でも飼い猫

ではない。小さい方のやつが食べ残した餌を

食いつくす。

 顔、形はそいつの方が優雅だが、力は小さい

やつよりよっぽど強い。ときどき猫パンチを

小さいやつに見舞う。

 大きい方のやつはもう大人だとみえて、

あまりなつかないが、それでも濡れ縁の上

までくるようになった。

 ここの住民は無害だと分かってきたので

あろうが、そんな評価を人間様に対して行う

とは見上げた根性だと呆れる。

 そいつもだんだん慣れてきた。濡れ縁に出る

と足元に体を擦り付けるようになってきた。

しかしまだ部屋には入ってこない。

 その外にも何匹も訪問者がいる。大きいぶちの

やつ、最初のやつと同じ模様でもう少し大きいの。

入れ替わり立ち代わりやってくるが、前の二匹の

ようには親しくなろうとは試みない。

 前に犬を二匹飼っていた。家族以上の存在になり

死んだときには悲しみが奥深かった。

 ペットの病院に連れていき、費用と愛情を掛けて

飼ってやった。散歩もしなければならないし、手間

が掛かること夥しい。

 でも猫の訪問者はそんなことを要求していない

ように、毎日やってくる。仕事を始めるとにゃあにゃあ

と始める。

 こいつたちは楽だ。こちらが楽しみたいときに

楽しみ、倦むと庭に返す。手間が掛からないペット

である。

酒巻 修平

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