困った言葉

会社で上司に対してや部下から受ける言葉で困るのが時々ある。「ご苦労様」や「お疲れ様」で、これは上司が部下の仕事や努力をねぎらう言葉である。ところが部下が上司に対してこんな言葉を良く使う。

使う方も上司が退社するときや外から電話が掛かってきたときに掛ける適当な言葉が見つからないからこのような良い方をする。だからこれらは部下の人の不見識によるとばかりは言えない。

もう少し大きな範囲でみてみると「です」の使い方も他に適当な言い回し方がないので、とても困る。美しい、嬉しい、赤いなど形容詞の後にはこの「です」は使えない。

使えるか使えないかは「です」の代わりに「だ」を付けておかしくないかを判断すると分かる。「美しいです」「嬉しいです」「赤いです」と言わず「うつくしいだ」「嬉しいだ」「赤いだ」と言うといかにもおかしいのが分かる。

正式には「美くしゅうございます」「赤こうございます」などと言うのだが、これでは仰々し過ぎる。別の言い方をすれば良いのだが、そんなのはなかなか見つけられない。美しい花ですね。赤いのは好きです。など文章が変わってしまう。

一方「結構」や「好き」にはこの「です」をつけてもおかしくない。それは「美しい」などが形容詞で、結構は形容動詞、好きは動詞だからだ。いつからこうなったのか調べてみないが言葉が変遷していくうちに変になってしまったのだろう。

「お早うございます」や「こんにちわ」は正しい言葉だが、二つの言葉は丁寧さが違う。「お早うございます」は丁寧で、目上の人に使っても非難されることはない。これを「お早う」とやると友達感覚の言葉になる。一方「こんにちわ」は「お早う」ほどさばけていず丁寧さが少し残っている。

朝の挨拶では「お早うございます」と「お早う」は時によって使い別けることができるが、昼には「こんにちわ」くらいしか挨拶の言葉がない。親しくなりたい人に「こんにちは」というと親近感が増すが、「お早うございます」では他人行儀である。かと言って「お早う」では馴れ馴れしい。便利な昼の言葉がない。

因みに日本では「お早うございます」は同一人物には一度しか使えないが、英語で「Good Morning」は何度でも使える。

最近言葉の変遷が激しく、昔使っていた言葉も若い人には通じないことも多い。いつの時代もそうだったのだろうが、最近はその傾向がはなはだしい。消えてしまった言葉も多い。そのうち言葉の数は極めて少なくなり、一つの言葉が多くの意味を含むようになるだろう。

間違っているか不適当な言葉が平気で使われることもある。「・・・の部分で」「我が社は観光を業務とした会社になります」など「部分」や「なります」は意味不明である。始めに「なります」を聞いたときにはそんな会社をこれから興すのかと勘違いしてしまった。

「なります」は敬語の正しい使い方を知らない人が無理に丁寧にものを言おうとして誤って使用したのが始まりだと思っているが、誰が最初に使ったのか誰も知らない。「部分」は言葉の言い表し方の下手な人が使うのだが、今はアナウンサー、評論家、政治家も使っている。

テレビでそんな使い方は間違っていると言っていたので、間違った語法だとは気が付いているようだが、ついつい便利に使うのだろう。

「・・・してもらっても良いでしょうか」と言うのも頂けない。「・・・良いでしょうか」は自分の行動の許可を相手に求めるものだ。「お先に失礼させて頂いても良いでしょうか」はだから正しいが、「ちょっと待って頂いても良いでしょうか」は完全な間違いである。もっとも「お先に・・・良いでしょうか」の良いでしょうかも前述のように間違っている。正式には「お先に失礼させて頂いてもよろしゅうございますか」である。

こんな語法がだんだん激しくなってきて、「1000円からお預かりします」

「領収書のお返しです」などコンビニが発祥らしい間違い語は多い。語呂が良いから使用されるのだろうが、言葉は文化である。それを考えると寂しい限りである。

酒巻 修平

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です