トランプ米大統領と未来社会

 世界中で規制緩和、自由貿易が叫ばれているなか、トランプ米大統領はその風潮に逆らって、米国は規制を強化しようと画策しているように見える。見えるというのは彼の真の考え方が知り得ないからそう言ったまでで、本心は商売本位で隠れた意図があるかも知れないからだ。

 ご存じの通り規制緩和をしないと経済は発展しないと政治家は言うが本当にそうだろうか。政治家が言う通り規制緩和をやり続けると永遠に世界経済は発展するのだろうか。

 私にはその限界があるように思えて仕方がない。規制緩和の元では弱肉強食という状態が出現するのは現在の在り方を見てもはっきりしている。小さな飲食店や文房具屋さん、肉屋、など小規模な商売をしているところが軒並み大企業が運営するチェイン店に滅ぼされてしまった。

 小さな店は仕入れも少なく、大企業が運営する店舗の仕入れ価格には太刀打ちできない。システム化をするにも資金がない。消えていく運命にあったのだ。そのうち大企業の中でも比較的小さな規模の企業がもっと大きな企業に吸収されていく。

 この観点でものを考えるといずれ企業の数が少なくなり、零細な企業は全て姿を消すに違いない。30年経てばどんな社会が出現するやら、想像を超える状態が発生しないとは限らない。

 日本には大企業が数社生き残っているだけ、米国も英国も中国は全てこの大きな渦に飲み込まれ、世界的に企業の数が減少する。

 そこでは政府はその企業に意見を言えないし、国家の運営もその残った企業が行う。しかしこれが終点ではない。さらなる競合の結果、世界にはたった一つの会社が存続するだけになる。

 もう官僚も政治家も用をなさない。その会社の社長が世界の全てを牛耳り富や名誉を独占する。一般の人はその会社の社員にならないことには生きていけない。

病院も学校も遊園地も全てその会社が経営している。

 これは絵空事ではない。30年前と比べるとその状態に向かって社会が進行しているように思えるではないか。昔あった商店街はもうないし、懐かしい一杯飲み屋も姿を見ない。

 天変地変以外に動物を絶滅に追い込んだのは人間だけだ。人は優秀な頭脳を持っているが、それを悪用するとどんなことでもできる。強い人は弱い人を奴隷のように扱うことだってできるし、犯罪も罰せられることもない。

 人は強いようで精神の弱い生物である。巨大な頭脳を持つが故に悪をなし、欲望は留まるところがない。その悪癖を誰かが押し留めなければならない。逆を言うと人は誰かに押し留められなければ力に任せてなんでもやってしまう。

 規制緩和は必要でもあるけれど極端に走ってはならない。誰かがどこかでブレーキを掛けなければ弱肉強食の様相は加速するだろう。世界にただ一つしか会社がないという状態は許せるのだろうか。

 少し前までは都市銀行と称する金融機関は12行あった。それが今や3か4行である。そのうち日本には一行だけが生き残るような気がしないでもない。これでは不便で仕方がない。その銀行の意向に従わなければ小企業は資金が銀行から調達できなくなる。

 そんな風潮にトランプが待ったを掛けているのどうかは分からないが、少なくてもそんな考え方で経済の膨張を規制するのも是認できないだろうか。世界経済はいつまでも膨張する筈がない。いずれ拡大が止まり、政治家その時のことを考えて経済運営をしているのだろうか。

 屋台があってもいいではないか。都会に住む優秀な人の子孫だけが人より良い生活を営むのは仕方がないとしても、屋台や廃品回収業のおじさんにも生きる機会を上げても神様は叱らないと思う。

酒巻 修平

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